2022-04-01から1ヶ月間の記事一覧
1.休職からの復職をめぐる問題 厚生労働省が公表している 令和2年 労働安全衛生調査(実態調査) 結果の概況 によると、メンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者の割合は、0.4%とされています。 令和2年 労働安全衛生調査(実態調査)…
1.退職勧奨の限界 退職勧奨とは、 「辞職を勧める使用者の行為、あるいは、使用者による合意解約の申込みに対する承諾を勧める行為」 をいいます。 退職勧奨を行うことは、 「基本的には自由である」 と理解されています。 ただ、 「社会的相当性を逸脱し…
1.事業廃止に伴う解雇 法人の解散など事業廃止に伴う解雇は、比較的緩やかに効力が認められます。東京地裁労働部に勤務歴のある裁判官の手による佐々木宗啓ほか編著『類型別 労働関係訴訟の実務Ⅱ』〔青林書院、改訂版、令3〕399頁にも、 「会社が解散…
1.配転命令後に配転されると困る事情を補充できるのか? 突然の配転命令を受けて、その私生活への影響の大きさに困惑する方は少なくありません。このように私生活上、重大な不利益を受けることは、配転命令を拒む理由になるのでしょうか? 最二小判昭61…
1.代表者等が不法行為に加担している場合 民法724条は、 「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。」 不法行為による損害賠償の請求権が、時効によって消滅すると規定しています。 法人を被害者とする不法行為…
1.素人によるヘアカット 子どもの頃、親や学校の教師から髪を切られて不本意な思いをした方は、少なくないのではないかと思います。 素人が切るのであるから、当たり前のことです。理容師は理容師法で、美容師は美容師法で、それぞれ国家資格として位置付…
1.労災の適用要件-業務上の事由による負傷 業務上の事由により負傷した労働者に対しては、労働者災害補償保険法に基づいて手厚い保険給付が行われます。 「業務上の事由」により負傷したといえるのかどうかは、 当該事故が業務遂行中に起こったか否か(業…
1.自動更新条項 期間の定めのある契約には、当事者の一方から異議が述べられない限り、自動的に更新するという条項が定められていることがあります。こうした趣旨の条項を、一般に「自動更新条項」といいます。 それほど頻繁に確認されるわけではありませ…
1.能力不足を理由とする解雇 一般に、能力不足を理由とする解雇に関しては、 「長期雇用システム下の正規従業員については、一般的に、労働契約上、職務経験や知識の乏しい労働者を若年のうちに雇用し、多様な部署で教育しながら職務を果たさせることが前…
1.自動車運転手の駐停車時間の労働時間性 使用者の指示があれば直ちに作業に従事しなければならない状態にある時間を一般に「手待ち時間」といいます。自動車運転手の駐停車時間は、手待ち時間の典型であるとされています。 手待ち時間は、現象的に何もし…
1.会社解散と整理解雇 既に流行に慣れてきつつある感も否めませんが、新型コロナウイルスに関連する企業倒産は今も少なくありません。帝国データバンクが公開している新型コロナウイルス関連倒産の発生累計件数は、右肩上がりになっており、令和4年4月段…
1.意思表示の効力発生時期 民法97条1項は、 「意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる」 と規定しています(到達主義)。 この規定に従うと、休職命令も、使用者からの通知が労働者に対して到達した時に発生するということにな…
1.使用者に対する損害賠償義務 労働者が職務を遂行するにあたり、必要な注意を怠って労働契約上の義務に違反して使用者に損害を与えた場合、債務不履行に基づく損害賠償責任を負うことがあります。 しかし、労働者の職務遂行にかかる損害賠償責任には、二…
1.使用者に対する損害賠償義務 労働者が職務を遂行するにあたり、必要な注意を怠って労働契約上の義務に違反して使用者に損害を与えた場合、債務不履行に基づく損害賠償責任を負うことがあります。 しかし、労働者の職務遂行にかかる損害賠償責任には、二…
1.無期転換ルールとその例外 労働契約法18条1項本文は、 「同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約・・・の契約期間を通算した期間・・・が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日…
1.無期転換ルールとその例外 労働契約法18条1項本文は、 「同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約・・・の契約期間を通算した期間・・・が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日…
1.配転の効力の争い方 違法・無効な配転の効力を争うにあたっては、大きく言って二つの方法があります。 一つ目は、異議を留保したうえで配転命令に服し、配転先で働きながら、その効力を争って行く方法です。 二つ目は、仮処分です。本案に先立ち、配転先…
1.不活動時間の労働時間性 不活動仮眠時間の労働時間性について、最一小判平14.2.28労働判例822-5大星ビル管理事件は、 「不活動仮眠時間であっても労働からの解放が保障されていない場合には労基法上の労働時間に当たるというべきである。そ…
1.賃金仮払いの仮処分 解雇にしても賃金減額にしても、判決が言い渡されるまでの間には、かなりの時間を要するのが通例です。 このタイムラグによって労働者が致命的な損害を受けることを避けるための仕組みに「賃金仮払いの仮処分」という手続があります…
1.心理的負荷による精神障害の認定基準(長時間労働) 精神障害の発症が労働災害に該当するのか(業務に起因するのか)を判断する基準として、平成23年12月26日 基発1226第1号「心理的負荷による精神障害の認定基準について(最終改正:令和2…
1.行政措置要求 公務員特有の制度として「行政措置要求」という仕組みがあります。 これは、 「職員は、俸給、給料その他あらゆる勤務条件に関し、人事院に対して、人事院若しくは内閣総理大臣又はその職員の所轄庁の長により、適当な行政上の措置が行われ…
1.行政措置要求 公務員特有の制度として「行政措置要求」という仕組みがあります。 これは、 「職員は、俸給、給料その他あらゆる勤務条件に関し、人事院に対して、人事院若しくは内閣総理大臣又はその職員の所轄庁の長により、適当な行政上の措置が行われ…
1.労働契約申込みのみなし制度 労働者派遣法40条の6第1項は、一定の行為を行った派遣先について、派遣元と同一の労働条件で派遣労働者に契約の締結の申込みをしたものとみなすという仕組みを規定しています。 例えば、労働者派遣法の適用を免れる目的…
1.労働契約申込みのみなし制度-偽装請負類型 労働者派遣法40条の6第1項5号は、労働者派遣の役務の提供を受ける者が、 「この法律又は次節の規定により適用される法律の規定の適用を免れる目的で、請負その他労働者派遣以外の名目で契約を締結し、第…
第二東京弁護士会に設置されている労働問題検討委員会は、労働実務研究部会、労働法制部会、社会保障部会、労働法教育部会の四つの部会に分かれています。 本日、労働実務研究部会の部会長に選任されました。 労働実務研究部会では、最新判例の研究、労働相…
1.退職の意思表示の撤回 退職の意思表示をしてしまったけれど、撤回したい-このような相談を受けることは、実務上少なくありません。このような相談を受けた場合、兎にも角にも早く退職の意思表示を撤回する通知を出すように助言するのが通常です。 退職…
1.勤務成績不良を理由とする解雇 高度の技術能力を評価され、特定の職務のために即戦力採用されたような場合を除き、「長期雇用システム下の正規従業員については、一般的に労働契約上、職務経験や知識の乏しい労働者を若年のうちに雇用し、多様な部署で教…
1.パワーハラスメント 事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(令和2年厚生労働省告示第5号)は、 「事業主が職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業…
1.精神障害を発症させられたことを理由とする損害賠償請求 使用者側の不適切な行為により精神障害を発症した労働者が、被った損害の賠償を請求しようとする時、しばしば不適切な行為と精神障害の発症との間に相当因果関係が認められるのかどうかが問題にな…
1.試用期間中の解雇 試用期間中または試用期間終了時の解雇(本採用拒否)は、 「実際の就労状況等を観察して従業員の適格性を判定するという留保解約権の趣旨・目的に照らし、本採用後の解雇の場合よりも広い範囲の解雇の自由が認められる」 と理解されて…