2023-01-01から1年間の記事一覧
1.能力不足を理由とする解雇 能力不足を理由とする解雇の可否は、 労働契約で求められていた能力水準がどのようなものなのか、 具体的な労務提供の内容がどうだったのか(上記で認定された能力水準に達しないものだったのか)、 を中心に争われます。 一般…
1.普通解雇の懲戒解雇への転換 古くからある論点の一つに、 懲戒解雇を普通解雇に転換できるか? という問題があります。 一般論としていうと、普通解雇の方が懲戒解雇よりも有効とされるハードルが低いと理解されています。そのため、懲戒解雇したものの…
1.退職勧奨/退職強要 「使用者は退職勧奨を原則として自由に行うことができるが、その勧奨行為には限界があり、人選が著しく不公平であったり、執拗、半強制的に行うなど社会的相当性を逸脱した手段・方法による退職勧奨は違法とされる可能性」があります…
1.金銭的不正行為を理由とする解雇 労働契約法16条は、 「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」 と規定しています。客観的合理的理由、社会通念上の相当性の有…
1.解雇に先立つ注意・指導 民法541条は、 「当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時…
1.解雇撤回への対抗 無理筋の解雇に対し、労働者側から解雇無効、地位確認を主張すると、使用者側から解雇を撤回されることがあります。 これが真摯なものであればよいのですが、敗訴リスクを考慮して解雇を一旦撤回するものの、当該労働者を職場から排除…
1.新型コロナウイルスの影響を理由とする整理解雇 新型コロナウイルスの流行は、経済活動に深刻なダメージを与えました。コロナ禍による収益の減少が理由で廃業・破産した事業者は少なくありません。 何となく重大な影響が生じたであろうことが察されてし…
1.過失相殺 民法722条2項は、 「被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。」 と規定しています。 この規定を根拠に、ハラスメントをして人を自死に追いやった経営者が、自死には他の原因も競合して…
1.セクシュアルハラスメント&自死事案の特徴 訴えの提起は、訴状を裁判所に提出する方式で行います(民事訴訟法134条1項)。 訴状には請求の趣旨と原因を記載する必要があります(民事訴訟法134条2項)。 請求の趣旨とは、求める結論のことです。…
1.通常損害と特別損害 民法416条は、 「債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。」 「特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者…
1.セクシュアルハラスメントで頻発する弁解-恋愛関係 セクシュアルハラスメントの被害者を代理して加害者を訴えると、しばしば「恋愛関係にあった」という反論がなされます。 セクシュアルハラスメントの被害者は、職場の人間関係を悪化させたくないなど…
1.セクシュアルハラスメントを受けて自死した女性弁護士の勤務条件 昨日、就職先法律事務所の代表弁護士からのセクシュアルハラスメント(意に反する性交等)を受けて女性弁護士が自死した事件を紹介しました。これは女性弁護士の遺族が法律事務所やセクシ…
1.自死事件の特徴-被害者本人が語れない ハラスメントは働く人に大きな心理的負荷を与えます。この心理的負荷は、時として、鬱病などの精神障害の発症や自死などの重大な結果を引き起こします。 当然のことながら、遺書等を目にして自死した方がハラスメ…
1.早期介入が特に必要とされる事件類型 一般の方の中には、 「時効期間が経過するまでは、事件にすることができる」 という誤解をしている方が少なくありません。 しかし、この発想は実務的には明確な誤りです。一般論として、古い事件を掘り起こしても、…
1.コロナハラスメント 新型コロナウイルスに関連したいじめ・嫌がらせ等を指して「コロナハラスメント」という言葉が使われることがあります。 コロナハラスメントに関して、厚生労働省は、 「過去に新型コロナウイルスに感染したことを理由として、人格を…
1.配転命令権の濫用 配転命令権が権利濫用となる要件について、最高裁判例(最二小判昭61.7.14労働判例477-6 東亜ペイント事件)は、 「使用者は業務上の必要に応じ、その裁量により労働者の勤務場所を決定することができるものというべきであ…
1.解雇無効を勝ち取ったその後 労働契約法16条は、 「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」 と規定しています。この条文により、濫用的な解雇権の行使は、その…
1.労働時間を管理する文書 使用者には労働時間を管理する義務・責務があります。 例えば、厚生労働省は、 「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置 に関するガイドライン」(平成29年1月20日策定) の中で、 「労働基準法においては、労…
1.現に退職妨害にあっているという危機的な場面での対応 昨今、人手不足を反映してか、会社が従業員の退職を妨害する事件が相当数見られるようになっています。退職すると高額の損害賠償を請求するなどと威迫するのが典型です。 それでは、会社施設で現に…
1.賠償予定の禁止 労働基準法16条は、 「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。」 と規定しています。 この条文との関係で、しばしば問題になることの一つに、留学・研修費用の返還条項(返…
1.アカデミックハラスメント 大学等の教育・研究の場で生じるハラスメントを、アカデミックハラスメント(アカハラ)といいます。 多くの大学はアカデミックハラスメントをハラスメント防止規程等で禁止しています。しかし、セクシュアルハラスメントやパ…
1.アカデミックハラスメント 大学等の教育・研究の場で生じるハラスメントを、アカデミックハラスメント(アカハラ)といいます。 多くの大学はアカデミックハラスメントをハラスメント防止規程等で禁止しています。しかし、セクシュアルハラスメントやパ…
1.アカデミックハラスメント 大学等の教育・研究の場で生じるハラスメントを、アカデミックハラスメント(アカハラ)といいます。 多くの大学はアカデミックハラスメントをハラスメント防止規程等で禁止しています。しかし、セクシュアルハラスメントやパ…
1.セクシュアルハラスメント 平成18年厚生労働省告示第615号『事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針』【令和2年6月1日適用】は、 職場におけるセクシュアルハラスメントを、 「職場におい…
1.安全配慮義務違反による精神障害の発症 労働契約法3条は、 「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」 と規定しています。これを安全配慮義務といいます。 長…
1.職場におけるパワーハラスメント 職場におけるパワーハラスメントとは、 職場において行われる ① 優越的な関係を背景とした言動であって、 ② 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、 ③ 労働者の就業環境が害されるものであり、 ①から③までの要素…
1.休憩時間と手待時間 労働基準法34条1項は、 「使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。」 と規定しています。 ここでい…
1.医療従事者の院外での待機時間の労働時間性 少し前に、看護師の緊急看護対応業務のための待機時間の労働時間性の有無が問題になった裁判例が公刊物に掲載されました。横浜地判令3.2.18労働判例1270-32 アルデバラン事件です。 この事件のオ…
1.配転命令権の濫用 昨日、医師のような特殊な技能が必要となる専門職は、黙示的な職種限定契約が成立し得るという話をしました。 ただ、黙示的な職種限定契約は、「黙示的」であるがゆえに、その内容が必ずしも一義的ではありません。そのため、昨日お話…
1.黙示的職種限定合意 医師など特殊な技能が必要となる専門職は、明示的な職種限定契約を締結していなかったとしても、黙示的な職種限定合意が成立し得ると理解されています(佐々木宗啓ほか編著『類型別 労働関係訴訟の実務Ⅰ』〔青林書院、改訂版、令3〕…