2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧
1.就業規則による懲戒事由の定め 最高裁は、 「使用者が労働者を懲戒するには、あらかじめ就業規則において懲戒の種別及び事由を定めておくことを要する・・・。そして、就業規則が法的規範としての性質を有する・・・ものとして、拘束力を生ずるためには…
1.旧労働契約法20条裁判 労働契約法20条に、 「有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違す…
1.違反事実申告 事業場に労働基準法に違反する事実がある場合、労働者は労働基準監督署に違反事実を申告することができます(労働基準法104条1項)。 それでは、申告を受けた労働基準監督署は、申告をした労働者との関係で、何らかの監督権限を行使す…
1.通勤手当の距離要件 通勤手当の支給にあたり、 「住居から勤務地までの距離が○km未満なら通勤手当は支給しない」 といったように、一定の距離が支給要件とされていることがあります。 https://j-net21.smrj.go.jp/startup/manual/list8/8-1-21.html この…
1.使用者の決定等がない場合の賞与請求の可否 多くの企業において、賞与は「毎年6月および12月に会社の業績、従業員の勤務成績等を考慮して賞与を支給する」といった規定に基づいて支給されています。具体的な支給率・額について使用者の決定や当事者間…
1.長時間労働からの鬱病発症をテーマとする二つの損害賠償請求事件 長時間労働で欝病などの精神疾患を発症した場合、労働者としては、先ず労災認定を受けることができないかを検討することになります。 労災認定を受けるためには、疾病や障害が「業務上」…
1.雇用保険の受給後に再雇用する約束 数か月前、コロナ禍のもと、社員を解雇して雇用保険を受給させ、事業再開後に社員を再雇用しようとしたタクシー会社が話題になりました。 https://news.yahoo.co.jp/articles/6b7c66d82a49773aa78232d8022efe75e66ec7e…
1.過失相殺 民法722条2項は、 「被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。」 と規定してます。 過失相殺における「過失」には、被害者自身の落ち度だけではなく、被害者側にいる人の落ち度、更には…
1.「自由な意思」の法理 使用者は労働者との間で合意を取り付けることにより、賃金を減額することができます。しかし、使用者と労働者は、必ずしも対等な立場にないため、賃金減額の合意が効力を持つためには、 (合意が)「労働者の自由な意思に基づいて…
1.減給の制裁 労働基準法91条は、 「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。」 と規定しています。 …
1.解雇から長期間経過している場合 本邦の法制では、解雇無効の出訴期間に制限はありません。それでは、解雇から幾ら長期間経過していても、その効力を争って労働者は地位確認訴訟を勝ち抜くことができるのでしょうか? 解雇後8年経過後の解雇無効の主張…
1.自然退職(自動退職) 私傷病休職の場面で、自然退職規定・自動退職規定といった言葉が使われることがあります。 この場合の自然退職規定・自動退職規定とは、 「休職期間が満了しても休職事由が消滅しない場合には、従業員は、休職期間の満了をもって退…
1.研修等(勉強会)の労働時間性 所定労働時間内に行われるべきものとまではいえない研修等の労働時間性については、 「労働者が使用者の実施する教育に参加することについて、就業規則上の制裁等の不利益取扱による出勤の強制がなく、自由参加のものであ…
1.パワハラ・セクハラ被害者は加害者への指導・処分を求めることが可能か? 以前、 「職場でのハラスメント、加害者への懲戒処分を求めることへの権利性」 という記事を書きました。 https://sskdlawyer.hatenablog.com/entry/2019/11/29/001414 記事の中…
1.古い事件 一般論として言うと、相手方から一方的に言い渡された法律関係であったとしても、それを前提に年単位の既成事実が積み重なってしまうと、 「〇年前の件で、合意した覚えはない。」 と言ったところで、それを裁判所に認めてもらうことは困難です…
1.懲戒免職処分と退職金不支給処分との連動性 公務員の場合、懲戒免職処分と退職金不支給処分とが連動する仕組みがとられています。 国家公務員の場合、退職金の支給/不支給の判断は、国家公務員退職手当法という法律に基づいて行われます。 国家公務員が…
1.無期転換逃れ 労働契約法18条1項本文は、 「同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約・・・の契約期間を通算した期間・・・が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、…
1.他社就労の問題 解雇無効を理由とした地位確認請求訴訟は、審理期間が1年以上に及ぶことも珍しくありません。裁判所の判断が出るまでの間、労働者は、預貯金を切り崩したり、雇用保険の仮給付を受けたりしながら当面の生活費を確保することになります。…
1.解雇? 合意退職? 以前、 「『明日から来なくていい』の法的な意味-曖昧な言葉を事後的に都合よく解釈する手法への警鐘」 という記事を書きました。 https://sskdlawyer.hatenablog.com/entry/2019/08/15/000113 この記事の中で、「明日から来なくてい…
1.既発生の賃金債権の放棄 最高裁は、 「既発生の賃金債権を放棄する意思表示の効力を肯定するには、それがの自由な意思に基づいてされたものであることが明確でなければならないと解すべきで労働者ある(最高裁昭和44年(オ)第1073号同48年1月…
1.前時代的なルール ネット上に、 「役場内で職員同士結婚、どちらかに退職促す 福井県池田町に慣習残る」 という記事が掲載されていました。 https://news.yahoo.co.jp/articles/f46d747ee4ccd1800acf286d41d9e8a1f5ae1a0e 記事には、 「役場内で結婚した…
1.秘密保持契約 入社時に勤務先から秘密保持契約の締結を求められることがあります。 ただ、契約を結ぶまでもなく、営業秘密は不正競争防止法によって法的に保護されています。例えば、不正の手段によって営業秘密を取得することや、不正取得行為により取…
1.過失相殺 民法418条は、 「債務の不履行又はこれによる損害の発生若しくは拡大に関して債権者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の責任及びその額を定める。」 と規定しています。 また、民法722条2項は、 「被害者に過失…
1.取締役への責任追及 会社法429条1項は、 「役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。」 と規定しています。 そして、取締役の職務には、自らが法令を…
1.マスコミへの情報提供 勤務先と紛争状態になった時、労働者側から「マスコミにリークする」という趣旨の発言がなされたり、実際に勤務先の問題点についてマスコミに情報提供がなされたりすることがあります。 使用者とのパワーバランスの問題から、社会…
1.管理監督者の出退勤の自由 管理監督者には時間外勤務手当を支払う必要がありません(労働基準法41条2号参照)。ただ、この管理監督者に該当するためには、①事業主の経営上の決定に参画し、労務管理上の決定権限を有していること、②自己の労働時間につ…
1.試用期間中の解雇 長期雇用制度の下の正規従業員の採用にあたり、一定期間を試用期間として労働者の能力、適性をみることは多くの企業において行われています(佐々木宗啓ほか編著『類型別 労働関係訴訟の実務』〔青林書院、初版、平29〕262頁参照…
1.地位確認訴訟係属中の他社就労 裁判には、どうしても、一定の時間がかかります。それは解雇の効力を争って地位確認訴訟を提起する場合も同じで、訴訟提起から一審判決の言い渡しまでには、1年以上かかることも珍しくありません。 例え解雇が違法・無効…
1.GPSによる労働時間の立証 残業代を請求する時、スマートフォンを利用したGPS移動記録は、他の証拠と組み合わせて使うことにより、かなりの威力を発揮することがあります。 例えば、メールの送信時刻を労働時間の立証の柱として使う場合に、GPS…
1.飲み会(接待・懇親会)の労働時間性 労働基準法上の労働時間は、 「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的…