2021-12-01から1ヶ月間の記事一覧
1.取締役の善管注意義務 株式会社と役員の関係は委任に関する規定によって規定されます(会社法330条)。そのため、取締役(役員)は会社に対し「善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務」(善管注意義務)を負います(民法644条)。 …
1.私傷病休職からの復職 私傷病休職をしていた方が復職するためには、傷病が「治癒」している必要があります。「治癒」とは「従前の職務を通常の程度に行える健康状態に回復した」ことを意味します(佐々木宗啓ほか編著『労働関係訴訟の実務Ⅱ』〔青林書院…
1.兼業・副業の禁止 厚生労働省では「働き方改革実行計画」(平成29年3月28日 働き方改革実現会議決定) を踏まえ、副業・兼業の普及促進を図っています。 副業・兼業|厚生労働省 しかし、兼業や副業に対して消極的な姿勢をとる会社は、依然として少…
1.法適合性に疑義のある規定を含んだ就業規則 小~中規模の事業者の就業規則には、法適合性に疑義のある規定を含んでいるものが少なくありません。専門家に依頼せず、自分で作成・変更するから、このような現象が生じるのではないかと思います。 こうした…
1.激変緩和措置・不利益緩和措置 降格や就業規則の変更など、賃金の減額が行われる場面において、激変・不利益を緩和するため、調整給等の名目で金銭が支給されることがあります。 それでは、この調整給等の名目で支給される金銭の法的性質は、どのように…
1.違法な譴責処分・戒告処分を理由とする損害賠償(慰謝料)請求のハードル 違法な譴責処分・戒告処分を理由とする損害賠償(慰謝料)請求には、三つのハードルがありあす。 一つ目は、故意・過失です。 客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当である…
1.譴責・戒告の効力と手続違反 懲戒解雇の場合、 「就業規則等において労働者に対する弁明の機会を付与することが要求されていない場合にも、労働者に対する弁明の機会を与えることが要請され、この手続を欠く場合には、ささいな手続上の瑕疵があるにすぎ…
1.懲戒解雇と退職金 退職金制度のある会社では、懲戒解雇と退職金が紐づいていることが多くみられます。懲戒解雇された場合には、退職金は不支給にするといったようにです。 しかし、懲戒解雇が有効である場合であっても、必ずしも退職金を不支給にするこ…
1.管理監督者性 管理監督者には、労働基準法上の労働時間規制が適用されません(労働基準法41条2号)。俗に、管理職に残業代が支払われないいといわれるのは、このためです。 残業代が支払われるのか/支払われないのかの分水嶺になることから、管理監…
1.管理監督者性 管理監督者には、労働基準法上の労働時間規制が適用されません(労働基準法41条2号)。俗に、管理職に残業代が支払われないいといわれるのは、このためです。 残業代が支払われるのか/支払われないのかの分水嶺になることから、管理監…
1.管理監督者 管理監督者には、労働基準法上の労働時間規制が適用されません(労働基準法41条2号)。俗に、管理職に残業代が支払われないいといわれるのは、このためです。 残業代が支払われるのか/支払われないのかの分水嶺になることから、管理監督…
1.学長・懲戒委員会委員の個人責任 大学に限ったことではありませんが、懲戒処分を受けた方から、懲戒委員会を構成する個々の委員に対し、違法・無効な判断をしたことに対する責任を問うことができないかという相談を受けることがあります。 会議体の構成…
1.大学教授の特殊性 一般論として、労働者には特定の仕事をさせるように請求する権利(就労請求権)までが認められているわけではありません(東京高決昭33.8.2判例タイムズ83-74参照)。 しかし、これには幾つかの例外があります。その一つが…
1.アカデミックハラスメント 大学等の養育・研究の場で生じるハラスメントを、アカデミックハラスメント(アカハラ)といいます。 セクシュアルハラスメント、マタニティハラスメント、パワーハラスメントとは異なり、アカデミックハラスメントは、法令上…
1.動かぬ証拠を伏せておく手法 訴訟において、決定的な証拠を伏せておくという手法があります。 例えば、不貞行為を理由に慰謝料を請求するにあたり、配偶者と不倫相手がホテルから出てくる場面を撮影した写真があったとします。 交渉・訴訟の初期段階では…
1.就業規則の周知性 労働契約法7条本文は、 「労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとす…
1.固定残業代の有効要件と「差額清算合意」「差額清算実態」 固定残業代とは、 「時間外労働、休日および深夜労働に対する各割増賃金(残業代)として支払われる、あらかじめ定められた一定の金額」 をいいます(白石哲編著『労働関係訴訟の実務』〔商事法…
1.退職日までの出勤日(労働日)を有給休暇で埋める方法 退職妨害が懸念される会社を辞めるにあたっては、退職の意思表示を行うと同時に、退職予定日までの出勤日(労働日)を有給休暇で埋めてしまうという方法をとることがあります。 労働者から有給休暇…
1.自由な意思の法理 労働者及び使用者は、自主的な交渉のもと、合意(同意)により労働契約の内容を変更することができます(労働契約法1条、同法3条1項等参照)。 しかし、 「就業規則に定められた賃金や退職金に関する労働条件の変更に対する労働者の…
1.管理監督者性 管理監督者には、労働基準法上の労働時間規制が適用されません(労働基準法41条2号)。俗に、管理職に残業代が支払われないいといわれるのは、このためです。 残業代が支払われるのか/支払われないのかの分水嶺になることから、管理監…
1.白票の取扱い 会議体で採決を行う時、白票の取扱いをどのようにするのかという問題があります。 積極的に賛成ではないということで反対票と同じ扱いにするのか、積極的に反対ではないということで賛成票と同じ扱いにするのか、賛成・反対の母数から除外…
1.公務員と雇止め 有期労働契約は、契約期間の満了により終了するのが原則です。 しかし、有期労働契約が反復更新されて実質的に期間の定めのない契約と同視できるようになっている場合や、労働者が契約期間の満了時に契約更新に向けた合理的期待を有して…
1.パワーハラスメントを防止するための雇用管理上講ずべき措置 労働施策総合推進法30条の2第1項は、 「事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環…
1.精神障害の労災認定 精神障害の労災認定について、厚生労働省は、 平成23年12月26日 基発1226第1号「心理的負荷による精神障害の認定基準について」(最終改正:令和2年8月21日 基発0821第4号) という基準を設けています。 精神障…
1.二つの法律構成 解雇の効力を争って金銭的な請求を行うにあたっては、二通りの法律構成が考えられます。 一つは、未払賃金としての構成です。解雇が無効である場合、労働契約は存続していることになります。契約が存続しているのに働けなかったのは労務…
1.名義貸しに伴うリスク この仕事をしていると、安易に他人に名義を貸して、過大な責任を負う方を目にすることが少なくありません。 過大な責任に繋がる名義貸しには、大きく言って二つの類型があります。 一つ目は、借金の名義貸しです。他人に頼まれて消…
昨年に引き続き、今年度も社会保険労務士の方を対象とした能力担保研修講師を務めました。 これは社会保険労務士の方が、特定社会保険労務士になるための研修です。 特定社会保険労務士は通常の社会保険労務士業務に加え、紛争解決手続代理業務を行うことが…
1.退職妨害 労働者の退職を妨げようとする時の使用者の言動は、大体において似通っています。その中の一つに、「逃げるのか。」というものがあります。 この「逃げるのか。」という言葉は、労働環境・勤務条件の過酷さから目を逸らし、退職の理由を個人の…
1.メモの禁止 近時、報道等で「メモをとらない新人」についての悩みが取り上げられるようになっています。メモは仕事を覚え、ミスを防ぐうえで役に立ちます。それなのに新人がメモを取ろうとしないというのが、大体のパターンです。 それでは、逆に、新人…
1.公務員と雇止め 労働契約法19条は、 「当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結して…