公務員の労働事件
1.公務員の懲戒免職処分と退職手当支給制限処分 国家公務員退職手当法12条1項は、 「退職をした者が次の各号のいずれかに該当するときは、当該退職に係る退職手当管理機関は、当該退職をした者(当該退職をした者が死亡したときは、当該退職に係る一般…
1.違法な懲戒処分に対する救済 違法な懲戒処分への対抗手段としては、 懲戒処分の効力を争うことのほか、 慰謝料などの損害の賠償を請求すること、 が考えられます。 このうち慰謝料などの損害賠償請求は、懲戒処分の効力だけを争う場合よりも、ハードルが…
1.違法な配転命令への対抗手段 違法な配転命令への対抗手段としては、 配転先で勤務する労働契約上の義務を負わないことの確認請求、 損害賠償請求、 の二つがあります。 このうち損害賠償請求について、近時公刊された判例集に注目すべき裁判例が掲載され…
1.同性パートナーシップ制度 現在、法律婚は異性婚のみとされていますが、地方自治体レベルでは「同性パートナーシップ制度」の普及がみられます。 「同性パートナーシップ制度」とは「各自治体が同性同士のカップルを婚姻に相当する関係と認め証明書を発…
1.公務員の初任給 国家公務員の初任給は、 「人事院規則九―八(初任給、昇格、昇給等の基準)」 というルールに基づいて決められます。 ここでは「初任給基準表」が定められ、13条1項は、 「初任給基準表は、その者に適用される俸給表の別に応じ、かつ…
1.反省はどこまで重視されることが許されるのか? 懲戒処分の効力を争う時、使用者側から重い処分量定を科した理由として「反省していないからである」と主張されることがあります。 反省していないから、またやるかも知れない、 またやるかも知れない以上…
1.公務員の定年後再任用 民間企業は、高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため、 ① 65歳までの定年の引き上げ、 ② 継続雇用制度の導入、 ③ 定年制の廃止、 のいずれかの措置を講じることになっています(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律…
1.生理休暇 労働基準法68条は、 「使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない」 と規定しています。これを生理休暇といいます。 「生理日の就業が著しく困難」とは、「生理日において下腹…
1.水平異動と「不利益な処分」 民間の労働者は、使用者から配転命令を受けた場合、その効力を争って裁判所の判断を仰ぐことができます。配転は使用者に広範な裁量が与えられているため、職種限定合意が認められるようなケースを除けば、そう簡単に無効には…
1.公務員の懲戒免職処分と退職手当支給制限処分 昨日、公務員は懲戒免職処分を受けると、基本的に退職手当の全額の支給を受けられなくなるという話をしました。国家公務員について、 昭和60年4月30日 総人第 261号 国家公務員退職手当法の運用方針…
1.公務員の懲戒免職処分と退職手当支給制限処分 国家公務員退職手当法12条1項は、 「退職をした者が次の各号のいずれかに該当するときは、当該退職に係る退職手当管理機関は、当該退職をした者(当該退職をした者が死亡したときは、当該退職に係る一般…
1.ハラスメントを行った公務員個人の責任 民間の場合、従業員が事業に関連して不法行為をした場合、不法行為をした従業員個人とその使用者とが連帯して損害賠償責任を負います。したがって、職場でハラスメントを受けた被害者は、加害者となった上司・同僚…
1.セクシュアルハラスメント 「職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されること」を「職場におけるセクシュアルハラスメ…
1.懲戒処分に引き続いて行われる配転命令 公務員に限ったことではありませんが、懲戒処分に引き続いて配転を命じられることがあります。国側・地方公共団体側・使用者側からすれば引き続き同じ業務を担当することが好ましくないということなのだと思われま…
1.弁護士費用を相手方に請求できるか? 弁護士費用は自弁するのが原則です。裁判に勝っても、相手方に弁護士費用を転嫁することはできません。その代わり、裁判に負けても、相手方から弁護士費用を転嫁される心配はありません。 しかし、一定の類型の損害…
1.公立大学法人 公立大学法人という仕組みがあります。 地方独立行政法人法に基づいて設立されている一般地方独立行政法人の一種で、 「一般地方独立行政法人で第二十一条第二号に掲げる業務を行うもの」 と定義されています(地方独立行政法人法68条1…
1.求めていない業務負荷の軽減を押し付けられるマタニティハラスメント 男女雇用機会均等法9条3項は、 「事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第六十五条第一項の規定による休業を…
1.過失相殺 民法418条は、 「債務の不履行又はこれによる損害の発生若しくは拡大に関して債権者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の責任及びその額を定める。」 と規定しています。 また、民法722条2項は、 「被害者に過失…
1.安全配慮義務 労働契約法5条は、 「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」 と規定しています。これを安全配慮義務といいます。 労働契約法は公務員には適用…
1.脳・心臓疾患の業務起因性・公務起因性と公立学校教員の部活動顧問 脳血管疾患や心疾患等が労災として認められるのか否かは、令和3年9月14日 基発0914第1号「血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準に…
1.脳・心臓疾患の業務起因性・公務起因性と公立学校教員の部活動顧問 脳血管疾患や心疾患等が労災として認められるのか否かは、令和3年9月14日 基発0914第1号「血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準に…
1.有期任用公務員の雇止め 有期任用公務員に対する雇止め(再任用拒否)が問題になった事案で、地位確認請求が認められることは普通ありません。公務員は労働契約法の適用除外となっており(労働契約法22条1項)、同法が規定する雇止め法理は適用も類推…
1.公務員の懲戒処分と弁明 手続の内容は法定されていないのが普通ですが、公務員に懲戒処分を行うにあたっても、基本的には弁明の機会を付与することが必要になると理解されています。 弁明の機会を与えられられなかったことだけで懲戒処分の取消事由にな…
1.消防職員のパワハラ 近時、パワハラを理由とする消防職員に対する懲戒処分/分限処分の効力が問題となる裁判例の公刊物への掲載頻度が上がっているように思われます。 中でも重要なのが、最三小判令3.9.13労働判例ジャーナル128-1 長門市・長…
1.被災労働者支援事業(労働福祉事業)における特別支給金 労働者災害補償保険は、保険給付を行うほか、社会復帰促進等事業を行っています(労働者災害補償保険法2条の2参照)。 社会復帰促進等事業には、 一 療養に関する施設及びリハビリテーションに…
1.素因の影響 疾病に罹患したり死亡したりしても、それが業務災害/公務災害といえる場合、労働者災害補償保険法や国家公務員災害補償法、地方公務員災害補償法に基づいて手厚い補償を受けることができます。 ある疾病に罹患したことや、ある疾病によって…
1.性同一性障害者と性自認に応じたトイレの自由利用 以前、性同一性障害を持つ方が性自認に応じたトイレを利用することの可否が問題になった裁判例を紹介しました。 性同一性障害者が自認する性別に対応するトイレを使用する利益と行政措置要求の可能性 - …
1.パワーハラスメントに対処しなければならないのは? 職場において行われる ① 優越的な関係を背景とした言動であって、 ② 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、 ③ 労働者の就業環境が害されるもの をパワーハラスメントといいます(令和2年厚生…
1.過去の懲戒処分歴の考慮 一般論として言うと、過去に懲戒処分を受けたことは、懲戒処分を行うのかどうか、懲戒処分の処分量定をどのように考えるのかの判断にあたり、労働者側に不利な事実として考慮されます。 例えば、人事院総長発『懲戒処分の指針に…
1.処分理由説明書の交付義務 国家公務員法89条1項は、 「職員に対し、その意に反して、降給・・・、降任・・・、休職若しくは免職をし、その他職員に対し著しく不利益な処分を行い、又は懲戒処分を行おうとするときは、当該処分を行う者は、当該職員に…