公務員の労働事件
1.自由な意思の法理 最二小判平28.2.19労働判例1136-6山梨県民信用組合事件は、 「使用者が提示した労働条件の変更が賃金や退職金に関するものである場合には、当該変更を受け入れる旨の労働者の行為があるとしても、労働者が使用者に使用さ…
1.飲酒運転を理由とする懲戒処分 人事院は、平成12年3月31日職職-68『懲戒処分の指針について』(最終改正:令和2年4月1日 職審-131)で、飲酒運転の処分量定について、 「酒酔い運転をした職員は、免職又は停職とする。この場合において人…
1.ストレスチェック 労働安全衛生法66条の10第1項は、 「事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者(以下この条において『医師等』という。)による心理的な負担の程度を把握するため…
1.公務災害の申出(国家公務員) 公務中に被災した公務員は、国家公務員災害補償法という法律に基づいて、被害の補償を受けることができます。 そのための手続は、 被災職員からの申出⇒補償事務主任者から実施機関への報告⇒公務・通勤災害であるかどうかの…
1.セクシュアル・ハラスメントに対する事前措置義務 昨日、平成18年厚生労働省告示第615号「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針【令和2年6月1日適用】」が、 職場におけるセクシュアル…
1.セクシュアル・ハラスメントに対する事後措置義務 平成18年厚生労働省告示第615号「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針【令和2年6月1日適用】」は、 職場におけるセクシュアルハラス…
1.セクシュアル・ハラスメントに対する典型的な弁解 酒席でのセクシュアル・ハラスメントに対し、加害者側から「酒に酔っていて記憶にない」と弁解されることがあります。 しかし、このような弁解は、不利に働くことはあっても、有利に働くことは先ずあり…
1.公務員と雇止め法理 有期労働契約は期間の満了により終了するのが原則です。 しかし、①有期労働契約が反復更新されて期間の定めのない労働契約と同視できるような場合や、②有期労働契約の満了時に当該有期労働契約が更新されると期待することに合理的な…
1.特定の「給」と「号給」にあることの確認請求-昇給幅の不十分さをどう争う? 地方公務員の給与は、業種毎に作成されている給料表にある「級」と「号給」で決まります。級とは「職務の複雑、困難及び責任の度に応じて区分するもの」をいいます。 「号給…
1.公法上の当事者訴訟 「公法上の当事者訴訟」という訴訟類型があります。 これは行政事件訴訟法4条に根拠のある訴訟類型で、 「当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とす…
1.危険な作業を指導する者の注意義務 危険な作業に従事していると怪我をすることがあります。完全に自業自得である場合は仕方がないのですが、指導、監督する立場にある方の指導方法等に問題がある場合は少なくありません。こうした場合、怪我をした方は、…
1.処分量定を争う 懲戒処分の効力を争う場合、大抵の事案では処分量定が議論の中心になります。何の非違行為もないのに懲戒処分が行われることは、それほど多くないからです。一定の非違行為の存在を前提としたうえ、当該非違行為に比して処分が重すぎるの…
1.懲戒処分の処分量定 公務員に限った話ではありませんが、懲戒処分には軽重があります。そして、懲戒処分の軽重は非違行為の軽重と相関する関係にあります。非違行為が重大であればあるほど重い懲戒処分になり、非違行為が軽微であればあるほど軽い懲戒処…
1.メンタルヘルスに関する情報の不申告と安全配慮義務 最二小判平26.3.24労働判例1094-22 東芝(うつ病・解雇)事件と言う判例があります。 この判例は、 「上告人が被上告人に申告しなかった自らの精神的健康(いわゆるメンタルヘルス)に…
1.公務員の欠格条項 公務員には欠格条項があります。国家公務員の場合、国家公務員法38条が、 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者(1号) 懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から二年を経過しな…
1.転任命令(水平異動)の判断基準をどう考えるのか 昨日、公務員の転任命令(水平異動)が、必ずしも司法審査の対象にならないことをお話しました。公務員の転任命令の効力を争うためには、そこに不利益性が認められる必要があります(国家公務員法89条…
1.公務員に対する転任命令 民間の労働者は、使用者から配転命令を受けた場合、その効力を争って裁判所の判断を仰ぐことができます。配転は使用者に広範な裁量が与えられているため、職種限定合意が認められるようなケースを除けば、そう簡単に無効にはなり…
1.懲戒免職と退職手当 公務員の場合、懲戒免職されると、退職手当の全額が不支給となるのが原則です。 例えば、国家公務員退職手当法12条は、 「懲戒免職等処分を受けて退職をした者」 に対し、 「一般の退職手当等の全部又は一部を支給しないこととする…
1.休暇の虚偽申請 公務員の懲戒処分に関しては、何らかの形で非違行為の類型毎に標準的な処分量定が定められているのが普通です。 例えば、国家公務員に関しては、平成12年3月31日職職-68「懲戒処分の指針について」が、非違行為毎の標準的な処分…
1.定年後再任用 民間企業は、高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため、 ① 65歳までの定年の引き上げ、 ② 継続雇用制度の導入、 ③ 定年制の廃止、 のいずれかの措置を講じることになっています(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律9条1項…
1.安全配慮義務 労働契約法5条は、 「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」 と規定しています。この条文に基づいて使用者が労働者に対して負う義務は、一般に「…
1.安全配慮義務 労働契約法5条は、 「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」 と規定しています。この条文に基づいて使用者が労働者に対して負う義務は、一般に「…
1.労働時間概念の相対性 行政解釈上、労災認定の可否を判断するうえでの労働時間は、労働基準法上の労働時間と同義であるとされています(令和3年3月30日 基補発 0330 第1号 労働時間の認定に係る質疑応答・参考事例集の活用について参照)。 し…
1.部下の長時間労働とSOSのサイン 労働者が長時間労働で精神障害を発症するに至るまでの間には、SOSのサインが出されていることが少なくありません。深刻な労働災害は、こうしたSOSのサインに対し、管理職が真摯に向き合わないことから発生します…
1.解雇・懲戒免職処分の無効と慰謝料 解雇や懲戒免職処分(懲戒解雇の公務員版)が違法無効であったとしても、必ずしも慰謝料請求が認められるわけではありません。 その理由は、大きく二点あります。 一つ目は「故意・過失」という主観的要件の問題です。…
1.パワーハラスメントによる懲戒処分 人事院総長発 平成12年3月31日職職-68「懲戒処分の指針について」(最終改正:令和2年4月1日職審-131)は、パワーハラスメントに関する懲戒処分の標準例を、次のとおり定めています。 「パワー・ハラス…
1.不法行為による損害賠償請求権の起算点 不法行為による損害賠償の請求権は、 「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき」 は時効によって消滅するとされています(民法724条1項)。 「損害・・・を知った時」…
1.ハラスメント被害者は踏んだり蹴ったり(被害者側の配転) ハラスメント被害を申告すると、しばしば被害者と行為者とを引き離すための配転が行われます。この引き離しのための配転自体は違法・不当なものではありません。 令和2年厚生労働省告示第5号…
1.忘年会とセクシュアルハラスメント セクシュアルハラスメント(セクハラ)は忘年会の場など、社屋の外で行われることも珍しくありません。 そのため、平成18年厚生労働省告示第615号「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管…
1.新人に対して行われるパワーハラスメント 職場のパワーハラスメントに関して相談を寄せられる方は、一定の社会人経験、業界経験を積んだ方が多いように思います。個人的経験の範疇で言うと、新人の方からパワーハラスメントの相談を受けることも、なくは…