2023-08-01から1ヶ月間の記事一覧
1.懲戒権の濫用 労働契約法15条は、 「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、そ…
1.退職金不支給・減額条項 「実務上、就業規則等に退職金の定めが置かれる場合には、懲戒解雇のときなど一定の場合に退職金を不支給又は減額支給とする旨の退職金不支給・減額条項が併せて置かれること」が多く見られます(佐々木宗啓ほか『類型別 労働関…
1.懲戒解雇と弁明 学説上は、懲戒解雇を行うにあたり、弁明の機会を付与することを、有効要件であると位置付けている見解が多いように思われます。例えば、水町勇一郎『詳解 労働法』〔東京大学出版会、初版、令元〕559頁は、 「被処分者に懲戒事由を告…
1.わいせつ行為を理由とする懲戒解雇(懲戒免職) 教育職員(教師)等が児童にわいせつな行為をした場合、大抵の場合、懲戒解雇/懲戒免職になります。この時、同意の有無は問われません。 例えば、東京都教育委員会が公表している 「教職員の主な非行に対…
1.過去の懲戒処分歴の考慮 一般論として言うと、過去に懲戒処分を受けたことは、懲戒処分を行うのかどうか、懲戒処分の処分量定をどのように考えるのかの判断にあたり、労働者側に不利な事実として考慮されます。 例えば、人事院総長発『懲戒処分の指針に…
1.処分理由説明書の交付義務 国家公務員法89条1項は、 「職員に対し、その意に反して、降給・・・、降任・・・、休職若しくは免職をし、その他職員に対し著しく不利益な処分を行い、又は懲戒処分を行おうとするときは、当該処分を行う者は、当該職員に…
1.違法無効な解雇後の賃金請求と就労意思(労務提供の意思) 解雇されても、それが裁判所で違法無効であると判断された場合、労働者は解雇時に遡って賃金の請求をすることができます。いわゆるバックペイの請求です。 バックペイの請求ができるのは、民法…
1.就業規則の周知性 労働契約法7条本文は、 「労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとす…
1.辞職か合意解約の申込みか? 辞職とは「労働者の一方的意思表示による労働契約の解約」をいいます(佐々木宗啓ほか編著『類型別 労働関係訴訟の実務Ⅱ』〔青林書院、改訂版、令3〕532頁参照)。 これに対し、合意解約(合意退職)とは「労働者と使用…
1.自由な意思の法理 最二小判平28.2.19労働判例1136-6山梨県民信用組合事件は、 「使用者が提示した労働条件の変更が賃金や退職金に関するものである場合には、当該変更を受け入れる旨の労働者の行為があるとしても、労働者が使用者に使用さ…
1.不合理な待遇の禁止・差別的取扱いの禁止 労働契約法20条に、 「有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である…
1.軽易業務への転換請求 妊娠中、産前産後、育児中の女性労働者に対しては、法律上、様々な保護・権利が与えられています。 そうした権利の一つとして、労働基準法65条3項は、 「使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換…
1.母性健康管理措置 男女雇用機会均等法13条は、1項で、 「事業主は、その雇用する女性労働者が前条の保健指導又は健康診査に基づく指導事項を守ることができるようにするため、勤務時間の変更、勤務の軽減等必要な措置を講じなければならない。」 と、…
1.権利であることと行使時期の関係 権利があることと、いつ権利を行使することができるのかという問題とは、概念上、切り離して考えられています。 例えば、労働者には年次有給休暇の時季指定をする権利がありますが、 「時季変更権行使の要否・・・の判断…
1.飲酒運転を理由とする懲戒処分 人事院は、平成12年3月31日職職-68『懲戒処分の指針について』(最終改正:令和2年4月1日 職審-131)で、飲酒運転の処分量定について、 「酒酔い運転をした職員は、免職又は停職とする。この場合において人…
1.競業行為と秘密の利用 競業行為には、しばしば営業秘密の利用が伴います。前職で知った営業秘密を活用して、競合する事業を始めるといったようにです。水町勇一郎『詳解 労働法』〔東京大学出版会、初版、令元〕916頁にも、「競業行為は、営業秘密漏…
1.競業避止義務 労働契約の終了後については、「信義則に基づく競業避止義務は消滅し、就業規則や労働契約等の特別の定めがある場合に限り、それらの約定に基づいて競業避止義務が認められうる」と理解されています(水町勇一郎『詳解 労働法』〔東京大学…
1.ストレスチェック 労働安全衛生法66条の10第1項は、 「事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者(以下この条において『医師等』という。)による心理的な負担の程度を把握するため…
1.公務災害の申出(国家公務員) 公務中に被災した公務員は、国家公務員災害補償法という法律に基づいて、被害の補償を受けることができます。 そのための手続は、 被災職員からの申出⇒補償事務主任者から実施機関への報告⇒公務・通勤災害であるかどうかの…
1.具体的な理由の示されないダメ出し 上司や指導担当から、具体的な理由を示されないダメ出しを受けた方は、少なくないのではないかと思います。 私自身も経験がありますが、何がダメなのかと尋ねても、自分で考えるようにと返答され、再検討の方向さえ示…
1.配転命令権の濫用 配転命令権が権利濫用となる要件について、最高裁判例(最二小判昭61.7.14労働判例477-6 東亜ペイント事件)は、 「使用者は業務上の必要に応じ、その裁量により労働者の勤務場所を決定することができるものというべきであ…
1.解雇の可否と不当訴訟の要件は一致するのか? 不法行為を構成するような不当な訴えの提起を「不当訴訟」といいます。 ただ、訴えの提起が不当訴訟として違法になる場面は、極めて限定的です。 具体的に言うと、最三小判昭63.1.26民集42-1-1…
1.有給休暇の時季変更権 労働基準法35条5項は、 「使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与…
1.有給休暇の時季変更権 労働基準法35条5項は、 「使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与…
1.在宅勤務をめぐる諸問題 新型コロナウイルスの流行以降、在宅勤務を推進・許容する企業が急増しました。 これにより、従来意識されてこなかった労働問題が、多発しています。 このような状況の中、近時公刊された判例集に、在宅勤務とされていたにもかか…
1.業務と無関係なウェブサイトの閲覧 程度の差こそあれ、会社の備品であるパソコンや、会社から貸与されたパソコンを利用して、就業時間中に、仕事と無関係なウェブサイトを閲覧したことのある方は、少なくないのではないかと思います。関係性が良好である…
1.部門閉鎖(工場・支店等の閉鎖)に伴う整理解雇 整理解雇が解雇権濫用にあたるのか否かについては、①人員削減の必要性、②解雇回避措置、③被解雇者選定の合理性、④手続の妥当性という4つの基準により判断されます(第二東京弁護士会 労働問題検討委員会…
1.部門閉鎖(工場・支店等の閉鎖)に伴う整理解雇 整理解雇が解雇権濫用にあたるのか否かについては、①人員削減の必要性、②解雇回避措置、③被解雇者選定の合理性、④手続の妥当性という4つの基準により判断されます(第二東京弁護士会 労働問題検討委員会…
1.部門閉鎖(工場・支店等の閉鎖)に伴う整理解雇 整理解雇が解雇権濫用にあたるのか否かについては、①人員削減の必要性、②解雇回避措置、③被解雇者選定の合理性、④手続の妥当性という4つの基準により判断されます(第二東京弁護士会 労働問題検討委員会…
1.マタニティハラスメント(マタハラ)からの避難場所としての育児休業 男女雇用機会均等法9条3項は、 「事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、・・・その他の妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省令で定めるものを理…