労働事件
1.国家公務員の残業代 国家公務員であっても、正規の勤務時間を超えて勤務した場合、残業代(超過勤務手当)が発生します。 条文の建付けとして読みにくくはあるのですが、例えば、一般職の職員の給与に関する法律16条1項は、 「正規の勤務時間を超えて…
1.労働者派遣等と黙示の労働契約 最二小判平21.12.18労働判例997-5 パナソニックプラズマディスプレイ(パスコ)事件は、黙示の労働契約の成否について、次のとおり判示しています。 「上告人はパスコによる被上告人の採用に関与していたとは…
1.労働者性の判断基準 労働基準法を始めとする労働関係法令の適用の可否は、ある働き方をしている人が「労働者」に該当するのか否かによって判断されます。そのため、ある人が「労働者」か否かという問題は、実務上、極めて重要なテーマとなています。 あ…
1.症状固定 治療をしても医療効果がそれ以上期待しえない状態を「症状固定」といいます。 例えば、腕を切断した場合に、幾ら治療を継続したところで、腕が生えてくるわけではないことを想像していただくとイメージしやすいのではないかと思います。 この「…
1.労災と労働時間 労働時間の数は、労災認定が認められるのか否かと密接に関係しています。 例えば、 令和5年9月1日 基発0901第2号「心理的負荷による精神障害の認定基準について」は、 「極度の長時間労働、例えば数週間にわたる生理的に必要な最…
1.脳・心臓疾患の労災補償 令和3年9月14日 基発0914第1号「血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準について」(令和5年10月18日改正)は、脳・心臓疾患の労災補償について、次のとおり規定していま…
1.夜勤時間帯における賃金単価が最低賃金以下とされた例-その後 以前、 夜間時間帯における割増賃金算定のための賃金単価を最低賃金以下にすることを認めた例 - 弁護士 師子角允彬のブログ という記事を書きました。 この記事の中で紹介した、千葉地判令…
1.固定残業代の有効要件 最二小判令5.3.10労働判例1284-5 熊本総合運輸事件は、固定残業代の有効要件について、 「労働基準法37条は、労働基準法37条等に定められた方法により算定された額を下回らない額の割増賃金を支払うことを義務付け…
1.固定残業代 固定残業代とは、 「時間外労働、休日および深夜労働に対する各割増賃金(残業代)として支払われる、あらかじめ定められた一定の金額」 をいいます(白石哲編著『労働関係訴訟の実務』〔商事法務、第2版、平30〕115頁参照)。 固定残…
1.固定残業代 固定残業代とは、 「時間外労働、休日および深夜労働に対する各割増賃金(残業代)として支払われる、あらかじめ定められた一定の金額」 をいいます(白石哲編著『労働関係訴訟の実務』〔商事法務、第2版、平30〕115頁参照)。 固定残…
1.賃金の支払義務 労働基準法24条1項は、 「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。」 と規定しています。 単純な債務不履行が犯罪とならないのに対し、賃金の不払いは労働基準法120条1号により、30万円以下の罰金に…
1.労働者性の判断基準 労働基準法を始めとする労働関係法令の適用の可否は、ある働き方をしている人が「労働者」に該当するのか否かによって判断されます。そのため、ある人が「労働者」か否かという問題は、実務上、極めて重要なテーマとなています。 あ…
1.当初からフリーランスの形であったと主張するパターン 令和6年11月1日、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(いわゆるフリーランス・事業者間取引適正化法)が施行されました。この法律は、フリーランスの就業環境の整備等を目的とする…
1.同僚からの暴力と労災 労働者災害補償保険法7条1号は、 「労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡」 に関し、保険給付を行うことを定めています。 同僚から暴力を振るわれたことが「業務上の」災害といえるのか否かに関し、 平成21年7月23日 …
1.同僚からの暴力と労災 労働者災害補償保険法7条1号は、 「労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡」 に関し、保険給付を行うことを定めています。 同僚から暴力を振るわれたことが「業務上の」災害といえるのか否かに関し、 平成21年7月23日 …
1.同僚からの暴力と労災 労働者災害補償保険法7条1号は、 「労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡」 に関し、保険給付を行うことを定めています。 同僚から暴力を振るわれたことが「業務上の」災害といえるのか否かに関し、 平成21年7月23日 …
1.些細な揚げ足とりばかりの指導 令和2年厚生労働省告示第5号「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」は、パワーハラスメントの一類型である「精神的な攻撃」について、次の…
1.サービス残業(無賃労働)の隠れ蓑としての「休憩時間」 労働基準法34条1項は、 「労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。」 と規…
1.精神障害の労災認定 精神障害の労災認定について、厚生労働省は、 令和5年9月1日 基発0901第2号「心理的負荷による精神障害の認定基準について」 という基準を設けています。 精神障害の労災補償について|厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/co…
1.退職勧奨で強引に合意が取得される問題 退職勧奨については、次のように理解されています。 「勧奨行為を行うことは基本的に自由である」 「しかしながら、社会的相当性を逸脱した態様での半強制的ないし執拗な退職勧奨行為が行われた場合には、労働者は…
1.退職勧奨で流されないためには・・・ 退職勧奨が行われる時など、労働者の心情が、 雇用の継続を希望するのか、 退職をするのか、 で揺れ動いていることがあります。 こうした場面では、しばしば使用者側から強い説得が行われがちです。そして、強い説得…
1.急ぎで書面が作成されることへの対応 退職勧奨が行われる時など、労働者の心情が、 雇用の継続を希望するのか、 退職をするのか、 で揺れ動いていることがあります。 こうした場面では、しばしば使用者側から強い説得が行われがちです。そして、強い説得…
1.休憩時間とされている時間の労働時間性の立証 1日の労働時間が8時間を超える場合、使用者には少なくとも1時間の休憩時間を付与する義務があります(労働基準法34条1項)。そのため、多くの企業では1日8時間労働の労働者に対し、1時間の休憩時間…
1.割増賃金(残業代)の計算方法 割増賃金(残業代)は、 通常の労働時間の賃金の計算額×割増率 によって計算されます。 通常の労働時間の賃金は、 時間単価×時間外労働等の時間数 によって表されます。 時間単価は、月給制の場合、 月によって定められた…
1.更衣時間の労働時間性 制服や作業服への更衣時間の労働時間該当性については、一般に、次のとおり理解されています。 「労働者が就業を命じられた業務を行う前段階の・・・作業服・作業靴への着替え・履替えなどの業務の準備行為は、労務提供そのもので…
1.試用期間の勤務状況を評価したうえでなされる解雇(留保解約権行使) 労働者の採用にあたって、入社後の一定期間を試用期間とし、その間に労働させる中で適性を評価して本採用するかどうかを決定している会社は少なくありません(第二東京弁護士会労働問…
1.試用期間延長の二面性 労働者の採用にあたって、入社後の一定期間を試用期間とし、その間に労働させる中で適性を評価して本採用するかどうかを決定している会社は少なくありません(第二東京弁護士会労働問題検討委員会『労働事件ハンドブック』〔労働開…
1.安全配慮義務と長時間労働 労働契約法5条は、 「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」 と規定しています。 この条文との関係で、実務上、しばしば長時間労…
1.早出残業の認定は厳しい タイムカードで労働時間が記録されている場合、終業時刻は基本的にはタイムカードの打刻時間によって認定されます。しかし、始業時刻の場合、所定の始業時刻前にタイムカードが打刻されていた場合であっても、打刻時刻から労働時…
1.退職をめぐるトラブル 退職時に労働者が不安に思うポイントには、大雑把に言って、 ① 辞めさせてくれない(退職妨害)、 ② 辞めさせてはくれるけれども、辛く当たられる(ハラスメント)、 の二つがあります。 いずれの不安を解消するうえでも、 退職の…