2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧
1.安全配慮義務と合理的配慮義務 労働契約法5条は、 「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」 と規定しています。 障害者雇用促進法36条の3本文は、 「事業…
1.自由な意思の法理の射程 最二小判平28.2.19労働判例1136-6山梨県民信用組合事件は、 「使用者が提示した労働条件の変更が賃金や退職金に関するものである場合には、当該変更を受け入れる旨の労働者の行為があるとしても、労働者が使用者に…
1.内定=労働契約の成立 採用内定の法的性質については、 「採用内定の過程で労働契約が成立し、その後の内定取消は労働契約の解約(解雇)にあたるため、内定者は合理性・相当性を欠く内定取消(解雇)の無効を主張して労働契約上の地位確認を求めること…
1.ハラスメントを理由とする制裁か定期人事異動か? 令和2年厚生労働省告示第5号「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」は、 「職場におけるパワーハラスメントが生じた事…
1.第三者委員会は恣意性を覆い隠す温床になっていないだろうか? 第三者委員会とは、 「直接の利害をもたない中立的な第三者によって構成される委員会」 をいいます。その任務については、 「官公庁、企業などで不祥事が発覚した場合に設置され、調査報告…
1.パワーハラスメントに対する調査・聴取 パワーハラスメントの被害申告を受けると、使用者は「事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認すること」になります。 これは、令和2年厚生労働省告示第5号「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動…
1.短期・単発のアルバイト(労働契約) 労働契約の中には、短期・単発のものがあります。1日だけ、あるいは、イベント開催中の3日間だけ雇うといったようにです。 こうした短期・単発のアルバイトは、使用者側も軽く見ているのか、不要と判断した時に、…
1.清算条項 清算条項とは、 甲と乙は、甲と乙との間に、何らの債権債務がないことを、相互に確認する といった趣旨の条項を言います。 この条項が合意書にあると、合意した法律関係以外の権利義務関係は、清算されて消滅してしまうのが原則です。 それでは…
1.均等法上の義務と事前措置義務・事後措置義務 セクシュアル・ハラスメントの被害を受けた時、使用者に対し、適切な事前措置・事後措置をとらなかったことを理由に損害賠償を請求することがあります。特に、事後措置との関係で「使用者が迅速、適切な対応…
1.状況や脈絡によって性的な意味を帯びる言葉 言語表現には、それ単体では性的な意味を持っていなくても、状況や脈絡によって性的な意味合いを帯びるものがあります。 例えば、「家に来ないか。」という言葉があります。小学生の子どもが珍しい虫を捕まえ…
1.セクシュアル・ハラスメントに対する典型的な弁解 酒席でのセクシュアル・ハラスメントに対し、加害者側から「酒に酔っていて記憶にない」と弁解されることがあります。 しかし、このような弁解は、不利に働くことはあっても、有利に働くことは先ずあり…
1.固定残業代の有効要件 最一小判令2.3.30労働判例1220-5 国際自動車(第二次上告審)事件は、固定残業代の有効要件について、 「通常の労働時間の賃金に当たる部分と同条の定める割増賃金に当たる部分とを判別することができることが必要であ…
1.固定残業代の有効要件 最一小判令2.3.30労働判例1220-5 国際自動車(第二次上告審)事件は、固定残業代の有効要件について、 「通常の労働時間の賃金に当たる部分と同条の定める割増賃金に当たる部分とを判別することができることが必要であ…
1.労働時間立証の証拠としてのメール 時間外勤務手当等を請求するためには、労働者の側で何時から何時まで働いていたのかを主張、立証する必要があります。 そして、タイムカードによって労働時間が管理されていない場合、あるいは、打刻してから働いてい…
1.賠償予約の禁止 労働基準法16条は、 「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。」 と規定しています。 この条文との関係では、しばしば使用者からの研修費用や就学費用の貸与の効力が問題に…
1.懲戒事由として明記されていない非違行為の処分量定 就業規則の中には、懲戒事由毎に標準的な処分量定を規定しているものもあります。「酒酔い運転をした職員は、免職又は停職とする」といったようにです。 こうした就業規則のもと、懲戒事由として明確…
1.訴訟における主張の応酬 訴訟において、原告と被告の事実認識が食い違うことは少なくありません。むしろ、事実認識が食い違うからこそ、紛争になるという側面もあります。 例えば、解雇の可否をめぐる紛争で、使用者側がある非違行為が存在すると主張す…
1.金銭的不正行為を理由とする解雇 労働契約法16条は、 「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」 と規定しています。客観的合理的理由、社会通念上の相当性の有…
1.業務上の疾病の解雇制限と復職要件 労働基準法19条1項本文は、 「使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業する期間及びその後三十日間は、…
1.通勤時間か、用務先間の移動時間か 一般論として、通勤時間に労働時間性は認められません。「通勤という行為は、労働力を使用者の下へ持参するための債務履行の準備行為に位置づけられるものであって業務性を欠く」と理解されているからです(佐々木宗啓…
1.労使間での噛み合わないやりとり 有期労働契約の更新に際し、労働者の側から労働条件の変更が求められることがあります。 これに対し、使用者の側は変更を認めず、従前の労働条件で更新を認めると回答するとがあります。 この場合、労働条件の変更につい…
1.取締役個人に対する残業代(割増賃金)請求 残業代(割増賃金)を支払わない会社の中には、支払能力がなくて支払えない会社も少なくありません。また、法的措置をとった当時は支払能力を有していても、裁判をやっている間に支払能力が失われてしまうこと…
1.公務員と雇止め法理 有期労働契約は期間の満了により終了するのが原則です。 しかし、①有期労働契約が反復更新されて期間の定めのない労働契約と同視できるような場合や、②有期労働契約の満了時に当該有期労働契約が更新されると期待することに合理的な…
1.追従・迎合はセクシュアルハラスメントに限ったことではない 最一小判平27.2.26労働判例1109-5L館事件は、管理職からのセクハラについて、 「職場におけるセクハラ行為については、被害者が内心でこれに著しい不快感や嫌悪感等を抱きなが…
1.大学教授・准教授と学生との関係 最一小判平27.2.26労働判例1109-5L館事件は、管理職からのセクハラについて、 「職場におけるセクハラ行為については、被害者が内心でこれに著しい不快感や嫌悪感等を抱きながらも、職場の人間関係の悪化…
1.特定の「給」と「号給」にあることの確認請求-昇給幅の不十分さをどう争う? 地方公務員の給与は、業種毎に作成されている給料表にある「級」と「号給」で決まります。級とは「職務の複雑、困難及び責任の度に応じて区分するもの」をいいます。 「号給…
1.公法上の当事者訴訟 「公法上の当事者訴訟」という訴訟類型があります。 これは行政事件訴訟法4条に根拠のある訴訟類型で、 「当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とす…
1.有期労働契約の更新 有期労働契約は期間の満了により終了するのが原則です。しかし、有期労働契約は、種々の理由から更新されることも少なくありません。 それでは、有期労働契約の締結期間中、更新後の労働条件を不利益に変更するような就業規則の変更…
1.会社の秘密漏洩を理由とする懲戒解雇 会社の秘密の漏洩や情報の持ち出しは、多くの会社で懲戒事由として定められています。例えば、 「正当な理由なく会社の業務上重要な秘密を外部に漏洩して会社に損害を与え、又は業務の正常な運営を阻害したとき。」 …