弁護士 師子角允彬のブログ

師子角総合法律事務所(東京:水道橋駅徒歩5分・御茶ノ水駅徒歩7分)の所長弁護士のブログです

経営者がSNSで労働者を揶揄する動画を公開することが不法行為を構成するとされた例

1.経営者による不適切なSNSの利用 近時、従業員による不適切なSNSの利用が会社に損害を生じさせる事例が目立つようになっています。従業員のSNSの利用をどのようにコントロールするのかは、既に労務管理上の重要な問題として認知されています。 …

同性パートナーは「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」とはいえないとされた例

1.同性パートナーシップ制度 現在、法律婚は異性婚のみとされていますが、地方自治体レベルでは「同性パートナーシップ制度」の普及がみられます。 「同性パートナーシップ制度」とは「各自治体が同性同士のカップルを婚姻に相当する関係と認め証明書を発…

初期の固定残業代が無効であったことから、その後の基本給の増額が労働条件の不利益変更扱いとされた例

1.固定残業代 固定残業代とは、 「時間外労働、休日および深夜労働に対する各割増賃金(残業代)として支払われる、あらかじめ定められた一定の金額」 をいいます(白石哲編著『労働関係訴訟の実務』〔商事法務、第2版、平30〕115頁参照)。 固定残…

基本給と同額の「残業手当」の固定残業代の効力が否定された例

1.固定残業代の有効要件 最一小判令2.3.30労働判例1220-5 国際自動車(第二次上告審)事件は、固定残業代の有効要件について、 「通常の労働時間の賃金に当たる部分と同条の定める割増賃金に当たる部分とを判別することができることが必要であ…

話合いの記録化の妨害(ノートパソコンの蓋を閉める)が不法行為に該当するとされた例

1.話合いの記録化 上司や同僚との関係性が話し合われる場で、出席者の発言を記録しようとすると、強く抵抗されることがあります。録音は認めない、メモをとることなども認めない、といったようにです。酷い場合には、メモを取り上げて破り捨てるなど、物理…

自虐的に笑いをとるキャラであったことは、侮蔑的な発言を正当化する理由になるか?

1.「いじられキャラだから・・・」という弁解 被害者側からハラスメント被害を受けていたことを問題にすると、加害者側から「(被害者は)いじられキャラだったから、問題がないと思っていた」と弁解されることがあります。要するに、「自虐的なネタで笑い…

個人の努力で差がでる「デブ」は許容されるが、先天性の「ブス」は許容されないから「ブス」とは言わないとの発言に信用性が認められなかった例

1.「デブ」は許容されるのか? 小学校時代、「デブ」などと体系を揶揄され、からかわれている同級生がいました。からかっている側は、「デブ」は努力すれば痩せられるから揶揄しても良いのだと、理屈の良く分からない独自の見解を得意気に吹聴していました…

「おばさん」「(複数回の結婚歴を揶揄した)経験豊富」との発言に違法性が認められた例

1.セクシュアルハラスメント 平成18年厚生労働省告示第615号『事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針』【令和2年6月1日適用】は、 職場におけるセクシュアルハラスメントを、 「職場におい…

公益通報-不正な目的で通報したと言われないためには、どのような目的で通報したと言えば良いのか?

1.公益通報 公益通報者保護法で保護される公益通報であるといえるためには、 「不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的」 ではないことが必要になります(公益通報者保護法2条)。 この「不正の目的」の解釈について、消費者庁…

役職又は職位の引き下げに伴い、労働契約上の定め(就業規則等の定め)なく賃金を減額することはできないとされた例

1.役職又は職位の引き下げ 一般論としていうと、役職又は職位を引き下げることは「就業規則等の具体的な根拠規定がなくとも、人事権の行使として」することが可能です。 ただし、「役職・職位を引き下げる降格が有効とされる場合であっても、それに伴う賃…

監査役に就任したら自動的に退職したことになるのか?

1.監査役と労働者性 以前、 取締役に就任したら退職するという就業規則-これにより自動的に退職したことになるか? - 弁護士 師子角允彬のブログ という記事を書きました。この記事の中で、就業規則に「取締役に就任したら退職する」と定められている会社…

個人のアカウントで会社の物品を購入した際に発生したポイントの私的使用による解雇が認められた例

1.金銭的不正行為を理由とする解雇 労働契約法16条は、 「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」 と規定しています。客観的合理的理由、社会通念上の相当性の有…

勤務間インターバルが短かったことが業務起因性の判断にあたり考慮された例

1.勤務間インターバル 勤務間インターバルとは、 「1日の勤務終了後、翌日の出社までの間に、一定時間以上の休息時間(インターバル)を設けることで、働く方の生活時間や睡眠時間を確保するもの」 をいいます。 「労働者が日々働くにあたり、必ず一定の…

専修学校卒業者を高卒として取り扱って初任給を決定することの適法性

1.公務員の初任給 国家公務員の初任給は、 「人事院規則九―八(初任給、昇格、昇給等の基準)」 というルールに基づいて決められます。 ここでは「初任給基準表」が定められ、13条1項は、 「初任給基準表は、その者に適用される俸給表の別に応じ、かつ…

使用者側が不就労控除を主張する時には、どの程度の事実の特定が必要なのか?

1.不就労控除 労働者が欠勤、遅刻、早退等により就労しなかった時間に相当する賃金を給料から差引くことを「不就労控除」といいます。 使用者側がこの不就労控除を主張する際、どの程度の事実の特定が必要になるのでしょうか? 賃金請求権についていうと、…

反省は付随的なものであるとして、過度に重視することが戒められた例

1.反省はどこまで重視されることが許されるのか? 懲戒処分の効力を争う時、使用者側から重い処分量定を科した理由として「反省していないからである」と主張されることがあります。 反省していないから、またやるかも知れない、 またやるかも知れない以上…

公務員の定年後再任用-減給になった方でも「合格」なのに戒告を受けた方が「否」とされるのは不合理とされた例

1.公務員の定年後再任用 民間企業は、高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため、 ① 65歳までの定年の引き上げ、 ② 継続雇用制度の導入、 ③ 定年制の廃止、 のいずれかの措置を講じることになっています(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律…

生理休暇中に墓参りに行ったり商業施設に行ったりしたら、生理休暇を不正取得したことになるのか?

1.生理休暇 労働基準法68条は、 「使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない」 と規定しています。これを生理休暇といいます。 「生理日の就業が著しく困難」とは、「生理日において下腹…

水平異動か降任か-園長代理を歴任していた人を子育て支援センター主幹を噛ませて幼稚園主幹に補する処分は争えるか?

1.水平異動と「不利益な処分」 民間の労働者は、使用者から配転命令を受けた場合、その効力を争って裁判所の判断を仰ぐことができます。配転は使用者に広範な裁量が与えられているため、職種限定合意が認められるようなケースを除けば、そう簡単に無効には…

定年後再雇用嘱託職員に年末年始休暇・夏季休暇を付与しないことが違法とされた例

1.正規・非正規職員の労働条件格差 労働契約法20条に、 「有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件…

電車内で女性客に迷惑行為をしている相手方に注意をして蹴られたことによる負傷に労災は適用されるのか?

1.通勤災害と通勤の中断 労働者災害補償保険法1条は、 「労働者災害補償保険は、業務上の事由、・・・又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して迅速かつ公正な保護をするため、必要な保険給付を行い、あわせて、業務上の事由、・・・又は…

管理監督者に相応しい待遇を判断する際の視点-非管理監督者の最上位が同程度の残業をしたらどうなるか?

1.管理監督者性 管理監督者には、労働基準法上の労働時間規制が適用されません(労働基準法41条2号)。俗に、管理職に残業代が支払われないいといわれるのは、このためです。 残業代が支払われるのか/支払われないのかの分水嶺になることから、管理監…

管理監督者性の判断にあたっては残業代請求期間の働き方をみること

1.管理監督者性 管理監督者には、労働基準法上の労働時間規制が適用されません(労働基準法41条2号)。俗に、管理職に残業代が支払われないいといわれるのは、このためです。 残業代が支払われるのか/支払われないのかの分水嶺になることから、管理監…

自治会費等の預り金を横領した公務員に対する退職手当支給制限処分(全部不支給)が取消された例

1.公務員の懲戒免職処分と退職手当支給制限処分 昨日、公務員は懲戒免職処分を受けると、基本的に退職手当の全額の支給を受けられなくなるという話をしました。国家公務員について、 昭和60年4月30日 総人第 261号 国家公務員退職手当法の運用方針…

精神疾患の影響とそれまでの公務への貢献が評価されて退職手当支給制限処分(全部不支給)が取り消された例

1.公務員の懲戒免職処分と退職手当支給制限処分 国家公務員退職手当法12条1項は、 「退職をした者が次の各号のいずれかに該当するときは、当該退職に係る退職手当管理機関は、当該退職をした者(当該退職をした者が死亡したときは、当該退職に係る一般…

復職にあたり労働者に不当な要求をしたとのことで、復職合意に基づいて復職するまでの間の賃金請求が認められた例

1.復職にあたっての不当な条件設定にどう対応するか? 休職していた労働者が復職するにあたり、勤務先があれこれと条件を付けようとしてくることがあります。保証人をつけろだとか、労働条件の不利益変更を了承しろだとか、そういったことが典型です。 し…

業務成果等を理由として賃金を減額することに法的な根拠がないとされた例

1.使用者による一方的な賃金の減額 使用者が労働者の業績等を理由に一方的に減額することも、できないわけではありません。ただ、そのためには、一定の厳格な要件が充足されている必要があります。 例えば、水町勇一郎『詳解 労働法』〔東京大学出版会、第…

「給料泥棒」「役立たず」「無能」「会社の寄生虫」などと言いながら退職を勧告された場合の慰謝料

1.退職勧奨の適法/違法の分水嶺 退職勧奨については、 「基本的に労働者の自由な意思を尊重する態様で行われる必要があり、この点が守られている限り、使用者はこれを自由に行うことができる。・・・これに対し、使用者が労働者に対し執拗に辞職を求める…

僧侶・修行僧の労働者性(肯定)

1.僧侶・修行僧の労働者性 一般論としていうと、住職たる地位の確認を求める訴えの提起は認められません。具体的な法律関係に関する問題でなく、法規の適用によって終局的に解決すべき法律上の争訟に当たらないと理解されているからです(芦部信喜 著 , 高…

感情を荒らげることなく淡々とした口調で話していても、アカデミックハラスメントが成立するとされた例

1.アカデミックハラスメント 大学等の教育・研究の場で生じるハラスメントを、アカデミックハラスメント(アカハラ)といいます。 多くの大学はアカデミックハラスメントをハラスメント防止規程等で禁止しています。しかし、セクシュアルハラスメントやパ…