2025-03-01から1ヶ月間の記事一覧
1.準拠法の選択 契約の当事者は、準拠法を選択することができます。 例えば「この契約は〇〇国法(〇〇州法)に準拠する」といったようにです。 これは労働契約の場合も同じで、当事者が米国法に準拠すると合意すれば、労働契約関係は米国法によって規律さ…
1.内定取消に関する判断枠組み 新規卒業者に対する内定取消の可否について、最二小判昭54.7.20労働判例323-19 大日本印刷事件は、 「本件採用内定によつて、前記のように被上告人と上告人との間に解約権留保付労働契約が成立したものと解する…
1.解雇紛争は経歴に響く? 解雇された人から法律相談を受けていると、 職場に対して法的措置をとってしまうと、後々、再就職が難しくならないのか? という質問をされることがあります。 敗訴した場合はもちろん、解雇が無効だと判断される場合も、相当額…
1.過失相殺 民法418条は 「債務の不履行又はこれによる損害の発生若しくは拡大に関して債権者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の責任及びその額を定める。」 と規定しています。 民法722条2項は、 「被害者に過失があった…
1.公務員の残業問題 公務員の場合、残業代の原資が予算によって厳格に管理されています。 民間の場合、予想外の支出が生じても借入等によって比較的柔軟に対応できますが、地方公共団体の場合、想定よりも残業が増えたとしても、残業代の原資を調達するこ…
1.自殺をめぐる損害賠償請求事件 業務に伴うする心理的負荷が原因となって自殺に至る場合、業務と死亡結果との間に相当因果関係があるといえるためには、精神障害を発症していることが必要になります。 なぜなら、伝統的に自殺は故意行為に該当すると理解…
1.更衣時間の労働時間性 制服や作業服への更衣時間の労働時間該当性については、一般に、次のとおり理解されています。 「労働者が就業を命じられた業務を行う前段階の・・・作業服・作業靴への着替え・履替えなどの業務の準備行為は、労務提供そのもので…
1.公正な採用選考の基本 企業には採用の自由があります。 しかし、だからといって、求職者に対して何を要求しても構わないと理解されているわけではありません。 厚生労働省は、採用選考は公正であるべきだと考えており、採用選考の基本的な考え方や、公正…
1.試用期間後の本採用拒否に係る規制の潜脱手段 試用期間の定めが解約留保権付労働契約と理解される場合、本採用拒否(留保解約権の行使)は解雇として理解されます。この場合、試用期間中であったとしても、客観的合理的理由・社会通念上の相当性が認めら…
1.公務員のセクハラの特殊性-主観的要件の存在 人事院規則10-10(セクシュアル・ハラスメントの防止等)第2条1号は、セクシュアル・ハラスメントの概念を、 「他の者を不快にさせる職場における性的な言動及び職員が他の職員を不快にさせる職場外…
1.賃金規定の改定による残業代の処理 実務上、残業代の発生を阻止・抑止するため、賃金規定が改められることがあります。どのような場合になされるのかというと、残業代の支払を求める訴訟で敗訴した時(もしくは敗訴的和解をした時)が典型です。 労働者…
1.就労意思 解雇されても、それが裁判所で違法無効であると判断された場合、労働者は解雇時に遡って賃金の請求をすることができます。いわゆるバックペイの請求です。 バックペイの請求ができるのは、民法536条2項本文が、 「債権者の責めに帰すべき事…
1.治癒の判定 休職している方が復職するためには、傷病が「治癒」したといえる必要があります。 ここでいう「治癒」とは「従前の職務を通常の程度に行える健康状態に回復したこと」をいいます(佐々木宗啓ほか編著『類型別 労働関係訴訟の実務Ⅱ』〔青林書…
1.弁護士に対するハラスメント 弁護士というと、何かあったら自力で訴えることが可能であるし、ハラスメントには遭わないと思っている方がいるかも知れません。 しかし、弁護士であったとしても、上席の弁護士からきつい言動を浴びせられる例はあります。…
1.違法無効な解雇後の賃金請求と就労意思(労務提供の意思) 解雇されても、それが裁判所で違法無効であると判断された場合、労働者は解雇時に遡って賃金の請求をすることができます。いわゆるバックペイの請求です。 バックペイの請求ができるのは、民法…
1.管理監督者と紐づいた手当 管理監督者になると、時間外勤務手当等が支払われなくなります。管理監督者には労働基準法上の労働時間規制が適用されないからです(労働基準法41条2号参照)。 管理監督者性が認められるには、管理監督者に相応しいと言え…
1.医師や看護師だけではない 残業代請求訴訟で争点化しやすい問題の一つに、医師や看護師といった医療従事者の休憩時間の労働時間性があります。 読者の中には、 休憩時間は休憩時間ではないのか? と「休憩時間の労働時間性」という概念的に矛盾するよう…
1.1か月単位変形労働時間制 労働基準法32条の2第1項は、 「使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面…
1.有給休暇と時効 労働基準法115条は、 「この法律の規定による賃金の請求権はこれを行使することができる時から五年間、この法律の規定による災害補償その他の請求権(賃金の請求権を除く。)はこれを行使することができる時から二年間行わない場合に…
1.競業避止義務 労働契約の終了後の競業避止義務については、次のとおり理解されています。 「労働契約の終了後については、信義則に基づく競合避止義務は消滅し、就業規則や労働契約等の特別の定めがある場合に限り、それらの約定に基づいて競業避止義務…
1.適宜休憩をとってくれ 労働基準法34条1項は、 「使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。」 と規定しています。 休憩時…
1.深夜割増賃金 労働基準法37条4項は、 「使用者が、午後十時から午前五時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労…
1.同種行為が当該企業でどのように扱われてきたのか? 上司や同僚に対する暴言を理由として解雇される例は、実務上、少なくありません。 脈絡にもよりますが、「殺すぞ」などの過激な発言に及んでいるようなケースだと、解雇の効力を争うことは、決して容…
一昨々日(令和7年3月5日)、第二東京弁護士会の会員を対象に「労働局あっせん手続を通じた紛争解決について」という研修が行われました。 研修は、東京労働局の紛争調整官の方と紛争調整委員2名によって行われ、私は紛争調整委員の1人として研修講師を…
1.入った会社がブラック企業だった ① 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す、② 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い、③ このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う、といった特徴を持つ会社…
1.違法行為の強要 パワーハラスメントというと、 身体的な攻撃、 精神的な攻撃、 人間関係からの切り離し、 過大な要求、 過小な要求、 個の侵害、 の六類型が有名です。これは、 令和2年厚生労働省告示第5号『事業主が職場における優越的な関係を背景と…
1.公益通報者保護法で保護される通報 不正行為であればどのような事実を通報したとしても、公益通報者保護法で保護されるわけではありません。公益通報者として、公益通報者保護法の保護を受けるためには、 「通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとし…
1.雇止め法理-合理的期待 労働契約法上、 「当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められる」(契約更新に向けた合理的期待が認められる) 場…
1.解雇が無効であることをどのように説得するのか? 労働契約法16条は、 「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」 と規定しています。 しかし、 どのようなこと…
1.○○という夢を持っている限り~ 会社にもよりますが、従業員の「○○という夢」に対し、好意的でない視線を注がれることがあります。 我々の業界との関係だと、例えば、司法試験です。 当該従業員が司法試験に合格し、法律事務所に就職するため退職されると…