2025-08-01から1ヶ月間の記事一覧
1.刑法上責任を問われない過失行為 刑法38条1項は、 「罪を犯す意思がない行為は、罰しない。ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない。」 と規定しています。 この規定から分かる通り、故意ではない行為(罪を犯す意思がない行為)で処…
1.1か月単位変形労働時間制 労働基準法32条の2第1項は、 「使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面…
1.就業規則の周知性 労働契約法7条本文は、 「労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとす…
1.管理監督者性と「待遇」 管理監督者には、労働基準法上の労働時間規制が適用されません(労働基準法41条2号)。俗に、管理職に残業代が支払われないいといわれるのは、このためです。 残業代が支払われるのか/支払われないのかの分水嶺になることか…
1.精神疾患発症の予見可能性 過失とは予見可能性を前提としたうえでの結果回避義務違反をいいます。 つまり、過失責任を問うためには、加害者に予見可能性があったことを立証する必要があります。 この予見可能性ですが、結果それ自体の予見可能性を問うこ…
1.典型的な使用者側の主張-勝手に忙しくしていた 割増賃金(残業代)を請求した場合でも、労災民訴で損害賠償を請求した場合でも、使用者側から「勝手に忙しくしていた」と反論されることがあります。 労働者が気を遣って述べたと思われる「家に居場所が…
1.労働基準法違反と差止請求 労働基準法1条は、 「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。」 「② この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由とし…
1.休憩時間の付与 労働基準法34条1項は、 「使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。」 と規定しています。労働基準法施行…
1.休憩規制とクルーレスト 労働基準法34条1項は、 「使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。」 と規定しています。 しか…
1.退職条件をめぐる交渉 違法不当な解雇が行われた場合にも、条件によっては退職を受け入れても構わないと考えている労働者がいます。このような事案では、解雇の無効を主張しつつ、退職条件に向けた交渉をして行くことがあります。 時々、この退職条件に…
1.二重帳簿ならぬ二重出勤簿 二重帳簿という言葉を聞いたことがある方は多いのではないかと思います。 これは、 「事実を記録する帳簿のほかに、脱税や粉飾決算などのために作成された帳簿があること。また、その帳簿。」 をいいます。 「二重帳簿(うらち…
1.直接雇用していない相手方に対する損害賠償請求は制限を受けるか? 使用者から被用者に対する損害賠償請求は、信義則上相当と認められる限度に制限を受けます。その根拠となっているのが最一小判昭51.7.8最高裁判所民事判例集30-7-689です…
1.判決確定後の記者会見 訴訟提起した事実を記者会見をして広く告知することを、一般に提訴記者会見といいます。提訴記者会見は、①認識に相違があった場合に相手方から名誉毀損で訴えられる危険がある、②主張の変遷や矛盾を捕捉される契機となりかねない、…
1.解雇無効/免職取消 解雇が違法無効であるとして地位確認請求が認められたり、免職処分が違法であるとして取り消されたりした場合、通常、労使間で復職に向けた協議が開始されます。そうした協議を通じ、労働者や公務員の方は、それぞれの居場所に戻って…
1.中間収入控除 民法536条2項は、 「債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。この場合において、債務者は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、…
1.実労働時間の主張立証責任 割増賃金(残業代)を請求するにあたっての実労働時間の主張立証責任は、原告である労働者の側にあります。したがって、割増賃金を請求するにあたっては、労働者の側で始業時刻・終業時刻を特定し、その間、労務を提供していた…
1.事業場外みなし労働時間制 労働基準法38条の2第1項は、 「労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす。ただし、当該業務を遂行するためには通常…
1.就業規則の周知性 労働契約法7条本文は、 「労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとす…
1.条件付採用 地方公務員法22条本文は、 「職員の採用は、全て条件付のものとし、当該職員がその職において六月を勤務し、その間その職務を良好な成績で遂行したときに正式採用になるものとする。」 と規定しています。 国家公務員法にも 「職員の採用及…
1.よくある叱責の言葉 業界毎、会社毎にやっていることは様々でも、上司が部下に使う叱責の言葉は、割と似たり寄ったりです。「代わりはいくらでもいる」「向いていないのではないか」「こんなミス新入社員でもしない」といったような言葉が典型です。 あ…
1.精神障害の発症と自殺との間に時間的間隔がある場合 鬱病(うつ病)等の精神障害への罹患が自殺に繋がることは少なくありません。 そのため、加重業務などの強い心理的負荷を生じさせる出来事⇒精神障害の発症⇒自殺という一連の因果の流れが時間的に近接…
1.ハラスメントを理由とする懲戒処分の効力を争う訴訟での申告者供述の位置づけ ハラスメント被害者側を代理して損害賠償請求訴訟を提起しても、裏付けとなる証拠が乏しいと、相手方が行為に及んだことを否認している場合、請求が認められることは殆どあり…
1.学校が独自に設けているハラスメント規程 労働施策総合推進法30条の2第1項は、 「事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることの…
1.問題行為を理由とする普通解雇に弁明の機会付与は必要か? 懲戒解雇を行うにあたっては、弁明の機会付与など適正な手続を踏むことが必要だと理解されています。例えば、水町勇一郎『詳解 労働法』〔東京大学出版会、第3版、令5〕600頁には、次のよ…
1.私生活上の非行を理由とする解雇 最二小判昭49.3.15労働判例198-23 日本鋼管事件は、 「営利を目的とする会社がその名誉、信用その他相当の社会的評価を維持することは、会社の存立ないし事業の運営にとつて不可欠であるから、会社の社会的…
1.事業場外みなし労働時間制 労働基準法38条の2第1項は、 「労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす。ただし、当該業務を遂行するためには通常…
1.解雇理由の構成 労務管理に対する意識が不十分な会社では、それほど深く考えられることなく解雇権が行使されることがあります。 こうした解雇は、当然、紛争を誘発します。解雇されることに納得のできない労働者は、解雇権の行使が無効であることを主張…
1.待ちの仕事/待ちの営業 仕事には、 財やサービスを提供する側から積極的に営業をかけて行くものと、 財やサービスを必要としている方から声をかけられるのを待っているものと があります。 医師や弁護士が提供する業務は、後者の典型です。 病気や怪我…
1.無茶な業務命令 労働契約法15条は、 「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、…
1.在職中の競業避止義務 在職中、労働者は使用者に対して競業避止義務を負っていると理解されています。 これは就業規則や雇用契約書に記載がなくても変わりません。 代表的な労働法の概説書である、水町勇一郎『詳解 労働法』〔東京大学出版会、第3版、…