2025-02-01から1ヶ月間の記事一覧
1.非違行為に伴う責任 「従業員の企業秩序違反行為に対する制裁罰であることが明確な、労働関係上の不利益措置」を「懲戒処分」といいます。懲戒処分は「通常の企業では・・・懲戒解雇、諭旨解雇、出勤停止、減給、戒告、訓告などとして制度化」されていま…
1.違法ではないが不当な行為 人の行為には、 適法かつ正当な行為、 違法かつ不当な行為、 のほか、 不当ではあるが、違法とまではいえない行為 があります。 この 不当ではあるが違法とまではいえない行為 の領域は案外広く、ハラスメントを理由に損害賠償…
1.教授の自由 大学教員の方の労働事件を取り扱って行くにあたっては、しばしば教授の自由との関係が問題になります。 教授の自由は学問の自由(憲法23条)の構成要素の一つで、その重要性は労働事件においても十分に意識されています。例えば、東京地判…
1.指導教授の変更に係る問題 以前、アカデミックハラスメントとの関係で、 アカデミック・ハラスメント-指導担当教員の変更、学位論文審査委員からの除斥の権利性 - 弁護士 師子角允彬のブログ という記事を書きました。 この記事の中で紹介した、岐阜地…
1.執務室へのカメラの設置 ワーキングスペースにカメラを設置することの可否が問題になることがあります。 労働者からすると感じの良いものではないとは思いますが、カメラの設置の可否については、一概に「良い」とも「悪い」とも言い切れません。 例えば…
1.大学教員の雇用が不安定である問題 一般の労働者は、有期雇用契約が更新され、雇用期間が5年を超えた場合、無期転換権を行使することができます(労働契約法18条1項)。 しかし、 「先端的、学際的又は総合的な教育研究であることその他の当該教育研…
1.被害者が嫌がっていることは分かりにくいことがある 最一小判平27.2.26労働判例1109-5L館事件は、セクシュアルハラスメントの被害者心理について、 「職場におけるセクハラ行為については、被害者が内心でこれに著しい不快感や嫌悪感等を…
1.懲戒処分の処分量定をどう争うか? 労働契約法15条は、 「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認…
1.キャバクラで働くのは不適切? 約10年前、銀座のクラブでのアルバイト経験を理由にテレビ局のアナウンサーが採用内定を取消される事件が報道されました。 日テレ女性アナ内定取り消し訴訟和解 4月入社へ - 日本経済新聞 この事件は、結局、テレビ局側…
1.使用者がパワハラに対処してくれない 令和2年厚生労働省告示第5号『事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針』は、パワーハラスメントに係る相談の申出があった場合に、事業主…
1.パワハラとセクハラの異同 パワーハラスメントもセクシュアルハラスメントも、ハラスメント(許されない行為)という点では共通しています。 しかし、訴訟実務に従事していると、異なると感じられる点も少なくありません。 例えば、立証方法が挙げられま…
1.仕事と相性の悪い非違行為 非違行為を犯した労働者は、勤務先から懲戒処分を受けることがあります。 懲戒処分が法的に有効なものかどうかを判断するにあたっては、 「当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な…
1.懲戒事由以外の事情が大量に主張される問題 労働契約法15条は、 「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当で…
1.パワーハラスメントによる心理的負荷 実務上、精神障害の発症が労災になるのか(業務に起因するといえるのか)は、 令和5年9月1日付け基発0901第2号「心理的負荷による精神障害の認定基準について」 という文書に掲げられている基準に基づいて判…
1.二律背反の指示 従業員の悩みの一つに、上司からの矛盾する指示があります。 例えば、業務量が多く、とても時間内に業務を終えることができないにもかかわらず、「残業をしないように」といった命令を受けるような場合が典型です。 この種の二律背反は、…
1.どうっいったハラスメントがどの程度の心理的負荷を生じさせるのか? ハラスメントと自殺との間に業務起因性(相当因果関係)が認められるためには、 ハラスメント⇒鬱病などの精神障害⇒自殺 といった一連の過程を立証する必要があります。 これは労働者…
1.自殺事案の業務起因性 労働者災害補償保険法12条の2の2第1項は、 「労働者が、故意に負傷、疾病、障害若しくは死亡又はその直接の原因となつた事故を生じさせたときは、政府は、保険給付を行わない。」 と規定しています。 この規定に照らすと、故…
1.残業代請求の時効 労働基準法115条は、 「この法律の規定による賃金の請求権はこれを行使することができる時から五年間、この法律の規定による災害補償その他の請求権(賃金の請求権を除く。)はこれを行使することができる時から二年間行わない場合…
1.自由な意思の法理 労働基準法24条1項は、 「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるも…
1.過半数代表者 労働基準法は過半数代表者に対し、様々な役割を与えています。 例えば、1年単位の変形労働時間制を定める労働基準法32条の4第1項は、 「使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、…
1.体操の労働時間性 始業時刻前に体操を行っている会社があります。前近代的に感じられる方もいるかも知れませんが、法律相談をしていると一定の頻度で目にします。そのため、体操は特殊な会社が例外的に採用しているというわけでもないのだろうと思います…
1.過半数代表者 労働基準法は過半数代表者に対し、様々な役割を与えています。 例えば、1年単位の変形労働時間制を定める労働基準法32条の4第1項は、 「使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、…
1.通勤災害 労働者災害補償保険法1条は、 「労働者災害補償保険は、業務上の事由・・・又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して迅速かつ公正な保護をするため、必要な保険給付を行い、あわせて、業務上の事由・・・又は通勤により負傷し…
1.産業医に対する姿勢 休職している方が復職するためには、傷病が「治癒」したといえる必要があります。 ここでいう「治癒」とは「従前の職務を通常の程度に行える健康状態に回復したこと」をいいます(佐々木宗啓ほか編著『類型別 労働関係訴訟の実務Ⅱ』…
1.私立学校の経営難 少子化の影響等により、私立大学を運営する学校法人の経営状態の悪化が指摘されています。日本私立学校振興・共済事業団が公表している「令和6(2024)年度私立大学・短期大学等 入学志願動向」によると、令和5年度に320校(…
1.労働時間立証のハードル 残業代を請求するにあたっては、労働日各日の始業時刻、終業時刻を原告側で特定しなければなりません。 立証の負担は、タイムカード等の客観的な方法による労働時間管理が行われている場合には、左程でもありません。 しかし、労…
1.早出残業の認定は厳しい タイムカードで労働時間が記録されている場合、終業時刻は基本的にはタイムカードの打刻時間によって認定されます。しかし、始業時刻の場合、所定の始業時刻前にタイムカードが打刻されていた場合であっても、打刻時刻から労働時…
1.実労働時間の主張立証責任 割増賃金(残業代)を請求するにあたっての実労働時間の主張立証責任は、原告である労働者の側にあります。したがって、割増賃金を請求するにあたっては、労働者の側で始業時刻・終業時刻を特定し、その間、労務を提供していた…