2021-03-01から1ヶ月間の記事一覧
1.解雇回避努力 整理解雇=経営上の理由による人員削減のための解雇の効力は、①人員削減を行う経営上の必要性、②使用者による十分な解雇回避努力、③被解雇者の選定基準およびその適用の合理性、④被解雇者や労働組合との間の十分な協議等の適正な手続、とい…
1.軽微な非違行為と定年後再雇用の問題 軽微な非違行為を理由に、定年後再雇用を拒否することは許されるのでしょうか? 過去、名古屋高判令2.1.23労働判例1224-98学校法人南山学園(南山大学)事件という裁判例がありました。 これは譴責処分…
1.教育職員の長時間労働の問題 公立学校教師の長時間労働を問題視する声の高まりを受け、令和2年1月17日、文部科学省から、 「『公立学校の教育職員の業務量の適切な管理その他教育職員の服務を監督する教育委員会が教育職員の健康及び福祉の確保を図…
1.退職金減額合意の効力を論じた裁判例 退職金減額の合意の効力を論じた最高裁判例に、最二小判平28.2.19労働判例1136-6山梨県民信用組合事件があります。 この事件で、最高裁は、 「労働契約の内容である労働条件は、労働者と使用者との個別…
1.違法行為を理由とする不利益取扱い 違法行為をしたことは、多くの場合、懲戒処分などの不利益取扱いの理由になります。この違法行為が、自発的に行われたことであれば、責任をとらされるのも、ある程度は仕方ありません。しかし、違法行為が、勤務先や上…
1.勤務先の不祥事のマスコミへの情報提供 勤務先の不祥事をマスコミに提供したいという相談を受けることがあります。そのようなことをして何の得があるのかという感覚を持つ方もいると思いますが、こうした相談は意外と多くあります。 マスコミへの情報提…
1.記者会見に厳しい裁判所 ジャパンビジネスラボ事件控訴審判決(東京高判令元.11.28労働判例1215-5)、三菱UFJモルガン・スタンレー事件(東京地判令2.4.3労働判例ジャーナル103-84)などの裁判例から分かるとおり、近時の裁判…
1.非典型的なハラスメント事案 暴行や暴言といった典型的なハラスメント事案に関しては、裁判例の集積により、ある程度の相場観が形成されています。 しかし、ハラスメント行為は多岐に渡っており、その全てが典型的であるわけではありません。時には予想…
1.問題はすぐに事件化すること 一般の方の中には、 「時効期間が経過するまでは、事件にすることができる」 という誤解をしている方が少なくありません。 しかし、この発想は実務的には明確な誤りです。一般論として、古い事件を掘り起こしても、勝てるこ…
1.大学でのハラスメント 前にも言及したことがありますが、このブログを目にしたという大学職員の方から相談を受けることは少なくありません。 相談を受けていて意外だったのは、封建的な体質の大学が結構多いという事実です。 このことには、おそらく二つ…
1.条件付採用 公務員の採用は、最初は条件付のものになります。例えば、国家公務員法59条1項は、 「一般職に属するすべての官職に対する職員の採用又は昇任は、すべて条件附のものとし、その職員が、その官職において六月を下らない期間を勤務し、その…
1.条件付採用 公務員の採用は、最初は条件付のものになります。例えば、地方公務員法22条1項第1文は、 「職員の採用は、全て条件付のものとし、当該職員がその職において六月を勤務し、その間その職務を良好な成績で遂行したときに正式採用になるもの…
1.勝手に残業をしていた 残業代を請求したとき、使用者側から、命じていないのに勝手に残業をしていただけだと反論されることがあります。 しかし、このような反論は殆ど意味がありません。明確に残業を禁止していたのであればともかく、単に残業を命じな…
1.固定残業代の不備の糊塗 固定残業代が有効といえるためには、通常の労働時間の賃金に当たる部分と時間外の割増賃金に当たる部分とが判別できる必要があります(最一小判平24.3.8労働判例1060-5テックジャパン事件、最二小判平29.7.7労…
1.過労で心身を壊した方の損害賠償請求と過失相殺 過労で心身を壊した方(ないしその遺族)が損害賠償を請求すると、使用者側から決まって過失相殺の主張がなされます。 過失相殺というのは、損害の発生や拡大に関して債務者・被害者に過失があったときに…
1.取締役への責任追及 過労死した従業員の遺族が民事訴訟で損害賠償を請求する場合、普通は会社を被告として訴えを提起します。経営者(取締役)個人を相手に訴訟提起することは、あまりありません。 主な理由は、 安全配慮義務違反を理由に会社に責任を問…
1.安全配慮義務 労働契約法5条は、 「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」 と規定しています。この条文に基づく義務は、一般に安全配慮義務と言われ、しばし…
本日、第二東京弁護士会労働問題検討委員会で勉強会が行われました。数十名規模の弁護士が参加し、午前中から夕方にかけて行われる規模の大きなものです。例年は合宿の形式で一日中かけて行われているのですが、今年は新型コロナウイルスの影響からZOOMを利…
1.雇止め法理 有期労働契約は、期間の満了により終了するのが原則です。 しかし、労働契約の期間満了時に契約が更新されるものと期待することについて合理的な期待がある場合、使用者が契約を終了させるには、客観的に合理的な理由・社会通念上の相当性が…
1.懲戒処分の考慮要素としての勤務成績 公務員の場合、懲戒処分の処分量定を決定するにあたっては、日頃の勤務態度も考慮要素になります。例えば、国家公務員への懲戒処分の指針が記載された平成12年3月31日職職-68「懲戒処分の指針について」には…
1.公務員の個人責任 公務員の場合、職務執行に関連して不法行為を犯しても、被害者から個人責任を追及されることはありません。このことは、過去、本ブログでも何度か説明させて頂いています。 パワハラ上司個人を訴えられるか?(公務員の場合) - 弁護士…
1.戒告・譴責の特殊性 戒告・譴責といった軽微な懲戒処分の効力を争うことは、経済的な利益の割に難易度の高い事件類型の一つです。 主な理由は、紛争形態の特殊性にあります。 解雇・出勤停止・減給の効力を争う場合、賃金支払請求訴訟の形態をとるため、…
1.契約の文言をめぐる同床異夢 契約上の文言をめぐって、各当事者が異なる認識を有することがあります。 例えば、「100円」という文言も、税抜か税込かが表示されていなければ、二通りの理解が有り得ます。売る方は税抜100円・税込110円だと認識…
1.本人訴訟に対する裁判所の姿勢 代理人弁護士を選任しないで、当事者が自ら訴訟追行することを本人訴訟といいます。 職業柄、原告、被告の双方が本人訴訟である場合の裁判所の訴訟指揮の実情に関しては、あまり良く知りません。しかし、訴訟代理業務をし…
1.非違行為を繰り返すことの意味 刑法には、再犯加重というルールがあります。大雑把に言うと、懲役に処せられた方が、刑の執行の終わった日から5年以内に更に罪を犯した場合、刑の上限が2倍に跳ね上がるというルールです(刑法56条、57条参照)。 …
1.情報漏洩に対する過剰反応 個人情報保護の意識が高まっているためか、近時、情報漏洩に対し、アンバランスなほど過酷な懲戒処分が行われる例が増えているように思われます。こうした傾向に対する違和感から、何か活用できる裁判例がないかと探していたと…
1.専門家であることの意味 専門家には、一般人よりも高度の注意義務が課せられることがあります。同じことをしても、素人であれば許されるのに、専門家であれば許されないという局面は、決して少なくありません。このことは、一定の場面において、専門家が…
1.労災認定の要件としての相当因果関係 労災が認定されるためには、 ① 疾病等が存在すること、 ② 当該疾病等が業務上のものであること、 の二つの要件が必要になります。 当該疾病等が「業務上」のものであるとは、疾病等と業務との間に相当因果関係(業務…
1.解決金と解雇回避措置 解雇回避措置というと、整理解雇の効力を議論するうでの考慮要素をイメージする方が多いと思います。しかし、解雇回避措置が尽くされているのか否かが問題になるのは、整理解雇の場面だけではありません。 解雇の「客観的に合理的…
1.手待時間(労働時間)か休憩時間か 作業に従事していなかったとしても、使用者の指示があれば直ちに作業に従事しなければならないなど、労働者に自由利用が保障されていない時間は、休憩時間ではなく手待時間(労働時間)になります(白石哲編著『労働関…