2019-09-01から1ヶ月間の記事一覧
1.労働法は日本を陥れようとしている? ネット上に、 「【雇用のプロ・安藤政明の一筆両断】「働き方改革の本丸」への対応」 という記事が掲載されていました。 記事は 「正規・非正規間格差是正」 に関連付けて、 「一部の事業所において、多くの手当が設…
1.「雇用契約類似の非典型契約」の概念 「雇用契約類似の非典型契約」という概念に言及した裁判例が、2019年10月号の判例タイムズに掲載されています。 東京地判平30.1.26判例タイムズ1463-190です。 この事案の原告は諸種設備工事の…
1.勤務先からの損害賠償請求 仕事でミスをしたことを理由に、勤務先から損害賠償を請求される例があります。 しかし、勤務先からの労働者に対する損害賠償請求は、それほど簡単に認められるわけではありません。損害賠償責任が認められる場合も、損害の公…
1.労働事件の特徴-権利関係の錯綜 労働事件の特徴の一つに、権利関係が錯綜しやすいことが挙げられます。 例えば、サービス残業やパワハラの横行している会社で、クビになった従業員が解雇の効力を争う場合、 労働契約上の権利を有することの確認、 解雇…
1.管理監督者 労働基準法上、 「事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者」(管理監督者) には「労働時間・・・に関する規定」の適用がありません(労働基準法41条2号)。 労働時間に関する規定には、時間外勤務に割増賃金を支払わなけ…
1.懲戒処分の指針 「職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合」や「全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」、地方公共団体は、職員を懲戒処分にすることができます(地方公務員法29条1項参照)。 しかし、これだけでは、どのような行…
1.「◯◯手当には、時間外労働手当が含まれる」 「◯〇手当には、時間外労働が含まれる」といった形式で定められた手当について、固定残業代だと主張されることがあります。 しかし、固定残業代として有効であるためには、「時間外の割増賃金に当たる部分」が…
1.ブラック企業は雇用契約書を作らない? ブラック企業という用語があります。 一般的に、 「労働法の規定する範囲を逸脱したような劣悪な勤務環境や過酷な労働を強いる企業の総称。」 として用いられているようです。 https://www.weblio.jp/content/%E3%…
1.割増賃金の基礎賃金 残業代の計算は、ごく大雑把に言うと、 1時間あたりの賃金額 × 時間外労働、休日労働または深夜労働を行わせた時間数 × 割増賃金率 でなされます。 https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/040324-5.html h…
1.職場の人間関係に関する悩み 職場の人間関係で悩んでいる方は、少なくないと思います。 2017年の厚生労働省の雇用動向調査-入職者 第15表「性、産業(大分類)、企業規模(GT・E)、就業形態、転職理由別入職者数」によると、前の勤め先を辞めた…
1.相談されていなかったから、対処のしようがなかった? 職場内いじめを受けた方が、いじめを放置した会社に対して責任追及(慰謝料等の支払いと求める損害賠償請求)をすると、会社側から 「必要な措置を講じようにも、相談されていなかったため、対処の…
1.教育公務員と未成年者との交際 教育公務員が未成年者と交際し、それがもとで懲戒処分を受ける例は、比較的多くみられます。 文部科学省の 「平成29年度公立学校教職員の人事行政状況調査について」 によると、 年間210名の教員が、わいせつ行為を理…
1.昼休みの電話対応 労働基準法34条1項は、「使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。」と規定しています。 1日8時間の…
1.医師の長時間労働問題 今年の3月29日に厚生労働省から「医師の働き方改革に関する検討会 報告書」という文書が公表されました。 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04273.html https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000496522.pdf この「報告書…
1.就業規則の周知性 労働契約法7条本文は、 「労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとす…
1.取締役に就任させることを利用した脱法スキーム 会社法330条は、 「株式会社と役員及び会計監査人との関係は、委任に関する規定に従う。」 と規定しています。 これに着目し、実体は労働者であるのに、名目上、これを取締役(役員)にして、労働基準…
1.自主的・自発的に働いている? 過労死が問題になる事案では、使用者側から、 「彼は自主的、自発的に残って働いていた(勉強していた)だけだ。」 という主張がなされることがあります。 これは、法律的に表現すると、 長時間の時間外勤務を命令したわけ…
1.職務経歴の詐称 職務経歴を盛ったことについて、勤務先に発覚したらどうなるかという相談を受けることがあります。 即戦力が求められる中途採用の場合、労働能力の評価を誤らせる職歴の詐称は、割と深刻な問題です。 独立行政法人 労働政策研究・研修機…
1.固定残業代には要注意 固定残業代とは、 「その名称にかかわらず、一定時間分の時間外労働、休日労働および深夜労働に対して定額で支払われる割増賃金」 のことを言います。 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000097679.html https://…
1.経営者や上司と対立することは、それ自体が非難されるようなことなのか? 経営者や上司との対立から、解雇や雇止めに至ることは、それほど珍しいことではありません。 しかし、業務命令違反や職務怠慢がある場合はともかく、経営者や上司と異なる考え方…
1.フリーランスのハラスメント ネット上に、 「フリーランスの6割パワハラ、4割セクハラを経験 相談機関なく泣き寝入りも」 という記事が掲載されていました。 https://news.yahoo.co.jp/byline/iijimayuko/20190910-00142072/ 記事は、 「特定の企業や組…
1.退職届けを撤回したい 勤務先に提出した退職届けを撤回することができないかという相談を受けることがあります。 売り言葉に買い言葉で勤務先に退職する意思を示してしまったものの、冷静になって考えてみて、早まったことをしたと後悔される方は、決し…
1.家の貸主は弱い? ネット上に、 「いまだ住所不定の山本太郎氏が借地借家法改正に取り組んだら」 という記事が掲載されています。 https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190908-00000010-pseven-soci&p=3 記事には、 「借地借家法は借り主保護のた…
1.詐欺業者・悪徳業者への責任追及の困難性 一般論として、詐欺業者・悪徳業者(以下「悪徳業者等」といいます)への責任追及は、それほど簡単ではありません。 それは法解釈上・法制度上の問題というよりも、むしろ、相手方を特定したり、特定した相手方…
1.労働時間を管理する責任を放棄している会社ほど残業代請求を受けにくい? 任意の支払いを拒否する使用者に対して残業代(割増賃金)の支払いを請求する場合、法的措置を取らざるを得ません。 しかし、残業代を請求するにあたっては、労働者の側で労働時…
1.職場のパワーハラスメント 職場のパワーハラスメントとは、 「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」 を言います。 htt…
1.国際結婚斡旋業者による人身売買 仕事の関係で、日本語に不自由な外国人の手による協議離婚届への署名・押印が、裁判例において、どのように理解されているのかを調べていました。 その過程で、たまたま国際結婚斡旋業者による人身売買が問題となった裁…
1.審査請求の放置 懲戒その他不利益な処分を受けた公務員には、審査請求を行うことが認められています(地方公務員法49条の2、国家公務員法90条)。 裁判所で処分の効力を争うためには、審査請求した後でなければならないとされているため(地方公務…
1.司法記者に仮処分申立書を提供した弁護士が訴えられた事件 司法記者に仮処分申立書を提供した弁護士が、名誉毀損を理由に損害賠償を請求された事件が判例データベースに掲載されていました。 岡山地判平31.3.26労働判例ジャーナル89-56LE…
1.手当型の固定残業代の有効性が問題になった事案 固定残業代(定額残業代)とは「時間外労働、休日および深夜労働に対する各割増賃金(残業代)として支払われる、あらかじめ定められた一定の金額」をいいます(白石哲編著『労働関係訴訟の実務』〔商事法…