弁護士 師子角允彬のブログ

師子角総合法律事務所(東京:水道橋駅徒歩5分・御茶ノ水駅徒歩7分)の所長弁護士のブログです

2019-06-01から1ヶ月間の記事一覧

職場で暴力を振るったら契約更新は期待できない?

1.職場で暴力を振るって契約更新を拒絶された事件 職場で暴力を振るったことなどを理由とする雇止めの適否が問題となった事案が公刊物に掲載されていました(大阪地裁平30.12.20労働判例ジャーナル87-99沢井製薬事件)。 この件で原告になっ…

育休明けに周囲への気兼ねからパート契約を結んでしまった(雇用形態の変更に応じてしまった)正社員の方へ

1.出産後に職場復帰する際に取り交わしたパート契約の効力が問題になった事例 出産後に職場復帰する際に取り交わしたパート契約の効力が問題となった判例が公刊物に掲載されていました(東京地判平30.7.5労働判例1200-48 フーズシステムほか…

無期限謹慎とは何だろうか?

1.無期限謹慎処分? ネット上に、 「吉本興業、スリムクラブと2700を無期限謹慎処分 反社会的勢力参加のパーティに出演」 という記事が掲載されていました。 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190628-00010000-huffpost-soci 記事には、 「吉本興業は…

公務員欠格条項が社会福祉法人の支援者に看過された疑いのある事件(専門職間での連携の重要性)

1.障害のある職員に対する再任用拒否の可否が問題となった事件 障害(先天性のある知的障害及び自閉症)のある自治体職員に対する再任用拒否の可否が問題となった事例が、公刊物に掲載されていました(大阪地判平31.2.13労働判例ジャーナル87-7…

分限免職と病気(睡眠時無呼吸症候群、高次脳機能障害)、病気・障害はオープンにすべきか?

1.分限免職 国や自治体には、公務能率を維持するため、適格性が欠如していたり、勤務成績が悪かったりする職員を免職することが認められています。これを分限免職といいます。 地方公務員の場合、地方公務員法28条1項が、 「人事評価又は勤務の状況を示…

分限回避義務

1.分限回避義務 「分限」とは「公務能率を維持するための官職との関係において生ずる公務員の身分上の変動で職員に不利益を及ぼすもの」を言います(森園幸男ほか編『逐条 国家公務員法』〔学陽書房、全訂版、平27〕635頁参照)。 国家公務員法上、 …

盗撮ハンターと非弁行為

1.盗撮ハンター ネット上に、 「盗撮魔に『2度とするな』と説教してお金要求…『盗撮ハンター』は正義の味方か?」 という記事が掲載されていました。 https://www.bengo4.com/c_1009/n_9799/ 記事には、 「相談者は、商業施設内で盗撮しました。その後、2…

残業代請求訴訟を提起したことに対する報復は許されない

1.残業代を請求する訴訟を提起したことへの報復 公刊物に、残業代を請求する訴訟を提起したことへの報復として雇止め・再雇用拒否などを行ったことが、不法行為に該当すると判示された例が掲載されていました(東京高判平31.2.13労働判例1199-…

身だしなみチェック(飲食の職場へのスマホ持ち込みチェック)はセクハラの問題か?

1.身だしなみチェックは、セクハラ? ネット上に、 「勤務先の身だしなみチェックがひどい 体臭嗅がれ、ズボンの上をコロコロ」 という記事が掲載されていました。 https://www.bengo4.com/c_5/n_9788/ 記事には、 「回転寿司でパートをしている女性は、仕…

片道2時間の通勤になる配置転換 パニック障害があるからといって、それだけで拒否して大丈夫なのか?

1.通勤時間が長くなる配置転換 ネット上に 「パニック障害、復職したら『片道2時間』の通勤に…拒否できる?」 との記事が掲載されていました。 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190619-00009756-bengocom-life 記事は、 「相談者は体調不良のため2カ…

ブラック再雇用の違法性

1.ブラック再雇用 ネット上に、 「『ジャマだジジイ!』ブラック再雇用の酷すぎる現状」 という記事が掲載されていました。 https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190619-01580233-sspa-soci 記事には、 「賃金が急降下する定年再雇用。『ご褒美再雇…

余計なお世話? 育児の負担に配慮するとの名目で、急な休みを取りやすい部署に配置転換することは許されるのか

1.育休後、急な休みを取りやすい部署での復職を勧められた ネット上に、 「復職時の『職場変更』は断れる?」 との記事が掲載されていました。 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190619-00000003-mynavin-life 記事には、 「Q.同僚が育児休暇後の職場…

一方的な賃金の改定(減額)は、そう簡単には認められない

1.賃金減額の有効性が否定された事例 従業員に対する賃金の減額改定の効力が否定された事例が、判例集に掲載されていました(東京地判平30.12.26労働判例ジャーナル87-89 ピーエーピースタジオトリア事件)。 被告になったのは、 「グラフィ…

落第生を再試験で救済しようとした大学教授が懲戒処分を受けた事件

1.落第生を再試験で救済しようとした大学教授が懲戒処分を受けた事件 学期末試験の成績が振るわず、単位を取得できなかった学生から泣きつかれ、再試験で学生を救済しようとした大学教授が、停職8か月の懲戒処分を受けた事件が公刊物に掲載されていました…

パワハラ冤罪

1.パワハラを理由とする懲戒免職処分が取り消された事案 パワハラを理由とする懲戒免職処分が取り消された事案が、公刊物に掲載されていました(甲府地判平31.1.22労働判例ジャーナル87-81頁 富士吉田市事件)。 富士吉田市の市立病院に勤務す…

追い出し部屋(退職勧奨を拒否したことに対する報復)

1.追い出し部屋 ネット上に、 「東芝系社員、退職拒み単純作業 『追い出し部屋』と反発」 との記事が掲載されていました。 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190615-00000005-asahi-soci 記事には、 「東芝が100%出資する主要子会社にこの春、新…

HIVと内定取り消し

1.HIVと内定取り消し ネット上に、 「病院がHIV差別はナンセンス 普通に働き、生活できる時代です」 という記事が掲載されていました。 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190613-00010000-bfj-soci&p=1 記事には、 「HIV感染(※)を告げなかったこ…

罰則のない法律に効果はないのか?(パワハラ)

1.「パワハラ防止法」の効果を疑問視する声? ネット上に、 「罰則規定のない『パワハラ防止法』に効果はあるのか」 との記事が掲載されていました。 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190612-00010001-wordleaf-pol 記事には、 「職場でのパワハラ防…

キャバクラ・クラブで働くときの留意点

1.キャバクラの労働問題 ネット上に、 「『生活費補填のためにキャバで働く』から見えた副業社会の危うさ」 という記事が掲載されています。 https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190612-00065076-gendaibiz-bus_all&p=1 記事には、 「キャバクラは…

育児休業をとって窓際に追いやられた方へ

1.育児休業をとると窓際に追いやられる? ネット上に、 「育休を取ると窓ぎわに!? 働く女性が男性との差を理不尽に感じる瞬間」 という記事が掲載されていました。 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190610-00011573-toushin-life&p=1 https://headli…

反社会的勢力と関係を持ってしまうリスクから身を守る方法

1.反社会的勢力と関係を持ってしまうことによるリスク ネット上に 「カラテカ入江の吉本“解雇”の衝撃 『得体のしれない宴会に出ることはよくある…』(芸人)〈週刊朝日〉」 という記事が掲載されていました。 https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=201…

人はクレーム対応の負荷で死亡することがある

1.クレーム対応による負荷が一因となって、心停止により死亡した例 公刊物に 「ルート営業に従事していた労働者が心停止(心臓性突然死)により死亡したことについて業務起因性が認められた事例」 の判決文が掲載されていました(福岡高宮崎支判平29.8…

自由競争を逸脱しない競業

1.退職後の競業(競業避止の合意を結んでいなかった場合) 共同経営者として働いていた人が、退職後に競業することの適否が争われた事案が公刊物に掲載されていました(東京地裁平29.5.17判例タイムズ1459-172)。 本件では原告となった人…

ハラスメント対応に名を借りて専門職を専門外の業務につかせる嫌がらせ的な配置転換命令が無効とされた例

1.外科医師に対する配置転換命令 外科医師に対する配置転換命令が、職種限定合意が成立していたことを理由に、無効とされた例が公刊物に掲載されていました(広島高裁岡山支決平31.1.10判例タイムズ1459-41)。 配置転換命令の効力を争う事…

子どもの習い事の先生は、児童の母親と不倫してもクビにならない?

1.子どもの習い事の先生は、児童の母親と不倫してもクビにならない? ネット上に、 「妻の不倫相手は『子どもの習い事の先生』…カルチャーセンターの責任を問える?」 という記事が掲載されていました。 https://www.bengo4.com/c_3/n_9721/ 記事は、 「妻…

一度生徒に手を出した教諭は、また手を出す?(性的な不祥事を起こした被用者の労務管理)

1.一度生徒に手を出した教諭は、また手を出す? 小学校の担任教諭が児童に対して行った強制わいせつ行為について、教育長の過失と市の責任を認めた判決が公刊物に掲載されていました(名古屋地裁岡崎支判平30.6.29判例時報2399-56)。 過失…

育児を困難にする配置転換について

1.育児を困難にする配置転換 ネット上に、 「『育休パタハラ』を生み出すのは日本企業の転勤制度」 との記事が掲載されていました。 https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190604-00010007-newsweek-int&p=1 記事は、 「改めて決意 夫日系一部上場企…

職場でのパンプス・ヒールの強制問題

1.職場でのパンプス・ヒールの強制は可能か? ネット上に、 「就活・職場でのパンプスやヒール、強制しないで。『#KuToo』署名活動に反響、厚労省に提出へ」 との記事が掲載されていました。 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190602-00010002-huffpo…

有期労働者と無期労働者との間の基本給の格差が違法となる場合(契約の更新が続いて勤務期間が長期化した場合)

1.有期労働者と無期労働者との間の基本給の格差が違法とされた事例 公刊物に、有期労働者と無期労働者との間の基本給の格差を違法だとした判決が掲載されていました。 福岡高判平30.11.29労働判例1198-63 学校法人産業医科大学事件です。 …

フリーランスの業務委託料や報酬の支払い時期に関する法規制

1.フリーランスは働かせ放題? ネット上に、 「働き方改革逃れ? 雇用からフリーランスへの切り替え、『働かせ放題』になる危険性」 という記事が掲載されていました。 https://www.bengo4.com/c_5/n_9706/ 記事で回答者となっている弁護士は、 「Aさんは…