1.退職勧奨の適法/違法の分水嶺-自由な意思 退職勧奨については、 「基本的に労働者の自由な意思を尊重する態様で行われる必要があり、この点が守られている限り、使用者はこれを自由に行うことができる。・・・これに対し、使用者が労働者に対し執拗に…
1.精神障害と労災 業務に起因して精神障害に罹患した場合、被災者は労働者災害補償保険法に基づいて療養補償給付、休業補償給付などの各種保険給付を受給することができます。 近時公刊された判例集に、この保険給付との関係で、実務的に注意しておかなけ…
1.労働者本人がいないところで言われる揶揄・侮辱 労働者本人がいないところで言われる揶揄や侮辱は、ハラスメント(不法行為)を構成することがあり得るのでしょうか? 当人が知らないのであれば、揶揄や侮辱があったとしても、精神的な苦痛(損害)は発…
1.労働契約が存在しなくても性的言動は不法行為を構成する? 「事業主が職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されること…
1.慰謝料に冷淡なのはセクハラも同じ 一昨日、 従業員を何度となくバカと罵ることが業務の範囲を超えないとされたうえ、多数回頭を小突く・足を蹴とばすなどの身体的暴力の慰謝料が僅か5万円とされた例 - 弁護士 師子角允彬のブログ という記事を書きまし…
1.残業時の休憩時間 時間外勤務手当等を請求する事件で就業規則を見ていると、時折「残業時の休憩時間」といった言葉を目にすることがあります。「残業する時は、○時~○時を休憩時間とする」といったようにです。 しかし、労働者は可能な限り早く家に帰り…
1.ハラスメントに冷淡な裁判所 労働者側の代理人弁護士として常日頃問題だと思っていることの一つに、裁判所のハラスメントに対する冷淡さがあります。 裁判所はなかなかハラスメントの成立を認めません。かなり不穏当な言動がとられていても、「業務の範…
1.固定残業代の有効要件 最一小判令2.3.30労働判例1220-5 国際自動車(第二次上告審)事件は、固定残業代の有効要件について、 「通常の労働時間の賃金に当たる部分と同条の定める割増賃金に当たる部分とを判別することができることが必要であ…
1.懲戒処分に引き続いて行われる配転命令 公務員に限ったことではありませんが、懲戒処分に引き続いて配転を命じられることがあります。国側・地方公共団体側・使用者側からすれば引き続き同じ業務を担当することが好ましくないということなのだと思われま…
1.弁護士費用を相手方に請求できるか? 弁護士費用は自弁するのが原則です。裁判に勝っても、相手方に弁護士費用を転嫁することはできません。その代わり、裁判に負けても、相手方から弁護士費用を転嫁される心配はありません。 しかし、一定の類型の損害…
1.懲戒処分の無効確認請求と訴えの利益 戒告処分や譴責処分の無効確認を求める訴えについては、処分が具体的な不利益と結びついていないためか、訴えの利益を否定されることが少なくありません。 「訴えの利益」とは、裁判所に事件として取り扱ってもらう…
1.在職中の訴訟提起 解雇の効力を争う事件が思い浮かぶのか、一般の方の中には、労働関係訴訟について、職場から排除された後に争うものというイメージを持つ方がいます。 しかし、職場から排除された後、あるいは、職場を去った後で行うというのは、労働…
1.解雇無効を勝ち取ったその後 労働契約法16条は、 「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」 と規定しています。この条文により、濫用的な解雇権の行使は、その…
1.正確性に強い疑義のある記事 ネット上に、 連休明けに毎回有休を取得して「3連休」にする社員がいます。業務が滞るのですが、有休は「権利」と主張されると何も言えません……。(ファイナンシャルフィールド) - Yahoo!ニュース という記事が掲載されてい…
1.解雇無効を勝ち取ったその後 労働契約法16条は、 「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」 と規定しています。この条文により、濫用的な解雇権の行使は、その…
1.労働者私傷病報告書 労働安全衛生規則97条は、 1項で、 「事業者は、労働者が労働災害その他就業中又は事業場内若しくはその附属建設物内における負傷、窒息又は急性中毒により死亡し、又は休業したときは、遅滞なく、様式第二十三号による報告書を所…
1.顧客からのクレーム 解雇や雇止めの理由として、顧客からクレームを受けていたことを主張されることがあります。この時、使用者(特に、代理人弁護士が選任される前の段階にある使用者)の中には、 どちらに非があるかは問題ではない、 クレームを受ける…
1.雇止めの二段階審査 労働契約法19条2号は、 「当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められる」 場合(いわゆる「合理的期待」が認められ…
1.雇止めの二段階審査 労働契約法19条2号は、 「当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められる」 場合(いわゆる「合理的期待」が認められ…
1.能力不足を理由とする解雇/雇止め 能力不足を理由とする解雇や雇止めの可否は、 労働契約で求められていた能力水準がどのようなものなのか、 具体的な労務提供の内容がどうだったのか(上記で認定された能力水準に達しないものだったのか)、 を中心に…
1.能力不足を理由とする解雇 能力不足を理由とする解雇の可否は、 労働契約で求められていた能力水準がどのようなものなのか、 具体的な労務提供の内容がどうだったのか(上記で認定された能力水準に達しないものだったのか)、 を中心に争われます。 一般…
1.普通解雇の懲戒解雇への転換 古くからある論点の一つに、 懲戒解雇を普通解雇に転換できるか? という問題があります。 一般論としていうと、普通解雇の方が懲戒解雇よりも有効とされるハードルが低いと理解されています。そのため、懲戒解雇したものの…
1.退職勧奨/退職強要 「使用者は退職勧奨を原則として自由に行うことができるが、その勧奨行為には限界があり、人選が著しく不公平であったり、執拗、半強制的に行うなど社会的相当性を逸脱した手段・方法による退職勧奨は違法とされる可能性」があります…
1.金銭的不正行為を理由とする解雇 労働契約法16条は、 「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」 と規定しています。客観的合理的理由、社会通念上の相当性の有…
1.解雇に先立つ注意・指導 民法541条は、 「当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時…
1.解雇撤回への対抗 無理筋の解雇に対し、労働者側から解雇無効、地位確認を主張すると、使用者側から解雇を撤回されることがあります。 これが真摯なものであればよいのですが、敗訴リスクを考慮して解雇を一旦撤回するものの、当該労働者を職場から排除…
1.新型コロナウイルスの影響を理由とする整理解雇 新型コロナウイルスの流行は、経済活動に深刻なダメージを与えました。コロナ禍による収益の減少が理由で廃業・破産した事業者は少なくありません。 何となく重大な影響が生じたであろうことが察されてし…
1.過失相殺 民法722条2項は、 「被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。」 と規定しています。 この規定を根拠に、ハラスメントをして人を自死に追いやった経営者が、自死には他の原因も競合して…
1.セクシュアルハラスメント&自死事案の特徴 訴えの提起は、訴状を裁判所に提出する方式で行います(民事訴訟法134条1項)。 訴状には請求の趣旨と原因を記載する必要があります(民事訴訟法134条2項)。 請求の趣旨とは、求める結論のことです。…
1.通常損害と特別損害 民法416条は、 「債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。」 「特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者…