2022-09-01から1ヶ月間の記事一覧
1.パソコンの起動時間による労働時間の立証 タイムカード等による労働時間管理が行われていない会社であったとしても、時間外労働を行っていた事実さえ立証できれば、時間外勤務手当等を請求することは可能です。 こうした会社で時間外労働の事実を立証す…
1.口頭弁論調書等への記載 民事訴訟法160条は、 「裁判所書記官は、口頭弁論について、期日ごとに調書を作成しなければならない。」 と規定しています(口頭弁論調書)。 口頭弁論調書の実質的記載事項は民事訴訟規則で定められており、弁論の要領のほ…
1.大学教授の就労請求権 一般論として、労働者には特定の仕事をさせるように請求する権利(就労請求権)までが認められているわけではありません(東京高決昭33.8.2判例タイムズ83-74参照)。 しかし、これには幾つかの例外があります。その一…
1.債務不存在確認訴訟の攻撃性 債務不存在確認訴訟という訴訟類型があります。これは義務者とされている人の側から、権利を主張している人に対し、自分に義務(債務)がないことの確認を求める訴訟をいいます。 通常、訴訟は権利を主張する側が、義務を履…
1.未収金を支払え クラブホステスなどの一定の業種では、事業主から顧客に対する未収売掛金の支払の保証を求められることがあります。これの亜種というわけでもありませんが、使用者から未収金の支払いを求められる労働者は少なくありません。法律相談をし…
1.労働者性が争われる事件 労働者かどうか(労働基準法、労働契約法をはじめとする労働法の適用があるか)は契約の名称によって決まるわけではありません。就労の実体で決まります。したがって、業務委託契約(準委任契約)という表題のついた契約書のもと…
1.労働契約から業務委託契約への切替え 少し前に、ある企業が社員を個人事業主化することを発表して話題に上ったことがありました。 その影響か、近時、労働契約(雇用契約)を業務委託契約(準委任契約)に切り替えられたという相談が増えているように感…
1.職務命令と転任 地方公務員法32条は、職務命令について、 「職員は、その職務を遂行するに当つて、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない」 と規定していま…
1.復職要件 休職している方が復職するためには、傷病が「治癒」したといえる必要がありま。 ここでいう「治癒」とは「従前の職務を通常の程度に行える健康状態に回復したこと」をいいます(佐々木宗啓ほか編著『類型別 労働関係訴訟の実務Ⅱ』〔青林書院、…
1.公務員の飲酒運転 公務員の飲酒運転に対し、行政はかなり厳しい姿勢をとっています。例えば、国家公務員の場合、酒酔い運転をしたら、人を死傷させなくても免職か停職になるのが通例です。 https://www.jinji.go.jp/kisoku/tsuuchi/12_choukai/1202000_H…
1.一審・二審で判断が分かれた氷見市・氷見市消防長事件 以前、「標準例に掲げられていない非違行為(ハラスメント加害者による関係者に対する圧力)の処分量定」という記事を書きました。 標準例に掲げられていない非違行為(ハラスメント加害者による関…
1.固定残業代の効力を争うための切り口 最一小判令2.3.30労働判例1220-5 国際自動車(第二次上告審)事件は、固定残業代の有効要件について、 「通常の労働時間の賃金に当たる部分と同条の定める割増賃金に当たる部分とを判別することができる…
1.休憩時間とされている時間の労働時間性の立証 1日の労働時間が8時間を超える場合、使用者には少なくとも1時間の休憩時間を付与する義務があります(労働基準法34条1項)。そのため、多くの企業では1日8時間労働の労働者に対し、1時間の休憩時間…
1.管理監督者と待遇 管理監督者には、労働基準法上の労働時間規制が適用されません(労働基準法41条2号)。管理監督者とは「労働条件その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者」の意と解されています。そして、裁判例の多くは、①事業主の経…
1.実労働時間の主張立証責任 割増賃金(残業代)を請求するにあたっての実労働時間の主張立証責任は、原告である労働者の側にあります。したがって、割増賃金を請求するにあたっては、労働者の側で始業時刻・終業時刻を特定し、その間、労務を提供していた…
1.解雇撤回事件(復職事件)の攻撃防御の展開 解雇は客観的合理的理由と社会通念上の相当性がある場合にしか認められません(労働契約法16条)。この規制を考慮しない無理のある解雇がなされている事案で復職を求めると、使用者側から「解雇を撤回する」…
1.録音の重要性 労働事件を処理するにあたり、録音は重要な証拠になります。特に、ハラスメントをテーマとする訴訟では、立証の核になることも少なくありません。 そのため、在職中の労働者からハラスメントに関する相談を受けた弁護士は、当面の対応とし…
1.就労請求権 使用者に労働することを請求する権利を、就労請求権といいます。 代表的な裁判例は、 ①労働契約等に就労請求権についての特別の定めがある場合、 または ②労務の提供について労働者が特別の合理的な利益を有する場合、 を除き、一般的に労働…
1.就労請求権 使用者に労働することを請求する権利を、就労請求権といいます。 代表的な裁判例は、 ①労働契約等に就労請求権についての特別の定めがある場合、 または ②労務の提供について労働者が特別の合理的な利益を有する場合、 を除き、一般的に労働…
1.ハラスメントの慰謝料 事案の内容にもよりますが、一般論としていうと、パワーハラスメントやセクシュアルハラスメントを理由とする損害賠償請求で、高額の慰謝料が認容されることは、あまりありません。 しかし、稀に数百万円規模の高額な慰謝料の請求…
1.解雇なのか合意退職なのか? 以前、 「明日から来なくていい」の法的な意味-曖昧な言葉を事後的に都合よく解釈する手法への警鐘 - 弁護士 師子角允彬のブログ という記事を書きました。 この記事の中で、使用者側から、 「明日から来なくていい」 とい…
1.不活動時間の労働時間性 平日の所定労働時間外の時間帯や休日において、自室などの私的領域内で緊急処理のための待機を命じられた場合の時間、あるいは携帯電話を持たされた場合の時間の労働時間性はどのように考えられるのでしょうか? この問題につい…
1.査定・評価による賃金減額 労働者を辞職に追い込むなどの目的で、査定・評価による賃金減額が毎年のように繰り返される事例があります。 査定・評価による賃金減額の可否については、一般に次のように理解されています。 「労働者の能力や成果の評価に基…
1.懲戒処分と一事不再理 使用者の労働者に対する「懲戒処分は制裁罰との性格をもち刑事処罰と類似性を持つため、罪刑法定主義類似の諸原則を満たすものでなければならない」と解釈されています(水町勇一郎『詳解 労働法』〔東京大学出版会、初版、令元〕…
1.懲戒処分と罪刑法定主義類似の諸原則 罪刑法定主義とは、 「ある行為を犯罪として処罰するためには、立法府が制定する法令において、犯罪とされる行為の内容、及びそれに対して科される刑罰を予め、明確に規定しておかなければならないとする原則」 をい…
1.解雇撤回に対する反論パターン 無理筋の解雇がなされているケースでは、労働者を代理して解雇無効・復職を主張すると、使用者側から、解雇を撤回されることがあります。 しかし、解雇された職場から、その舌の根も乾かないうちに解雇を撤回すると言われ…
1.私的な雑用の処理を行わせること 比較的小規模な会社において、創業者・経営者が、従業員に対して、業務とは無関係の私的な雑用の処理をさせていることがあります。 直観的に分かるのではないかと思いますが、こうしたことは、法的にも否定的に理解され…
1.下請法 下請法という法律があります。 正式な名称は下請代金支払遅延等防止法といいます。この法律は下請事業者の利益の保護等を目的としており、フリーランス保護にも重要な役割を果たしています。 下請法違反行為は、勧告件数こそ年間数件に留まってい…
1.労使慣行の法的効力をどうみるか 労使慣行に法的効力が認められる要件について、裁判例は、 ①長期間にわたって反復継続して行われ、 ②労使双方がこれを明示的に排除しておらず、 ③当該慣行が労使双方(特に使用者側は当該労働条件について決定権または裁…
1.職場の愚痴 同僚と職場の愚痴を言い合った経験をお持ちの方は、少なくないように思います。 口で言い合うのであれば、その場限りのやりとりで終わるため、それが問題になることは、あまりありません。しかし、グループラインなど、証拠に残る形で行われ…