弁護士 師子角允彬のブログ

師子角総合法律事務所(東京:水道橋駅徒歩5分・御茶ノ水駅徒歩7分)の所長弁護士のブログです

フリーランスの労働事件

労働法に部分的適用の可能性はないのだろうか-「雇用契約類似の非典型契約」の持つ可能性

1.「雇用契約類似の非典型契約」の概念 「雇用契約類似の非典型契約」という概念に言及した裁判例が、2019年10月号の判例タイムズに掲載されています。 東京地判平30.1.26判例タイムズ1463-190です。 この事案の原告は諸種設備工事の…

相談しても解決しない? フリーランスのハラスメント被害

1.フリーランスのハラスメント ネット上に、 「フリーランスの6割パワハラ、4割セクハラを経験 相談機関なく泣き寝入りも」 という記事が掲載されていました。 https://news.yahoo.co.jp/byline/iijimayuko/20190910-00142072/ 記事は、 「特定の企業や組…

業務委託先からの「パワハラ」-安全配慮義務違反に基づく責任は追及できない?

1.業務委託先からのパワハラと安全配慮義務 ネット上に、 「業務委託先からのパワハラ、もう耐えられない…違約金なしで契約は切れるか」 との記事が掲載されています。 https://www.bengo4.com/c_5/n_10050/ 記事は、 「パワハラを理由に、業務委託契約を…

社員の個人事業主化

1.社員の個人事業主化 ネット上に、 「タニタ社長『社員の個人事業主化が本当の働き方改革だ』という記事が掲載されています。 https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190723-66668864-business-soci&p=1 記事によると、 「対象はタニタ本体の社員の…

死亡しても吉本興業に責任追及を行わない・訴訟の提起を行わないとの誓約書の効力

1.吉本興業の誓約書 ネット上に、 「吉本、NSC合宿の『死亡しても責任負わない』誓約書は『無効』 芸能弁護士が批判」 との記事が掲載されていました。 https://www.bengo4.com/c_23/n_9947/ 記事には、 「吉本興業が運営する芸人養成所『NSC』の研修生に…

吉本興業は下請法違反?

1.吉本興業は下請法違反? ネット上に、 「吉本興業は下請法違反? ギャラの認識で芸人と食い違い、書面のやりとりもなし」 という記事が掲載されていました。 https://www.bengo4.com/c_5/n_9922/ 記事は、 「仮に下請法の適用対象となる場合、ギャラにつ…

脱サラしてフランチャイズ契約を結ぶ方への情報提供義務

1.ビジネスセミナーでの起業の勧め サラリーマンを対象に起業を勧めるセミナーが行われることがあります。 セミナーでは、フランチャイズ契約を結べば、簡単に高収入が得られるなどとして、独立・起業が勧められます。 これを真に受けて会社を辞め、高額の…

準委任契約類似の無名契約の解除の可否の判断に解雇権濫用法理の考え方が取り入れられた例

1.準委任契約と解雇権濫用法理 法律行為を委託することを委任契約といいます(民法643条)。法律行為とはいえない事務を委託することを準委任契約といいます。準委任契約には委任契約に準じたルールが適用されます(民法656条)。 企業とフリーラン…

無期限謹慎とは何だろうか?

1.無期限謹慎処分? ネット上に、 「吉本興業、スリムクラブと2700を無期限謹慎処分 反社会的勢力参加のパーティに出演」 という記事が掲載されていました。 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190628-00010000-huffpost-soci 記事には、 「吉本興業は…

反社会的勢力と関係を持ってしまうリスクから身を守る方法

1.反社会的勢力と関係を持ってしまうことによるリスク ネット上に 「カラテカ入江の吉本“解雇”の衝撃 『得体のしれない宴会に出ることはよくある…』(芸人)〈週刊朝日〉」 という記事が掲載されていました。 https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=201…

フリーランスの業務委託料や報酬の支払い時期に関する法規制

1.フリーランスは働かせ放題? ネット上に、 「働き方改革逃れ? 雇用からフリーランスへの切り替え、『働かせ放題』になる危険性」 という記事が掲載されていました。 https://www.bengo4.com/c_5/n_9706/ 記事で回答者となっている弁護士は、 「Aさんは…

フリーランス(労働組合法上の労働者に該当しない人たち)による団体交渉の可能性

1.労働組合法上の団体交渉 労働組合には、組合員のため、使用者と交渉する権限(団体交渉権)があります(労働組合法6条)。 団体交渉の対象は「労働協約の締結その他の事項に関して」です(労働組合法6条)。 「労働協約」は「労働組合と使用者又はその…

「個人事業主」としてクリニックに参画した医師の労働者性

1.「個人事業主」としてクリニックに参画した医師の労働者性 「個人事業主」としてクリニックに参画した医師の労働者性が問題になった事案が判例集に掲載されていました(東京地判平30.9.20労働経済判例速報2374-29 メディカルプロジェクト…

働き方改革を理由とする無理な短納期要求への対応(法専門家への相談の重要性)

1.取引先からの短納期要求 ネット上に、 「下請けは『短納期』の要求を毅然と断れるのか」 という記事が掲載されていました。 http://news.livedoor.com/article/detail/16481843/ 記事には、 「4月に働き方改革関連法が施行され、長時間労働是正に向けた…

業界を挙げてアイドルを干すことは法的に許されるのか?

1.業界の忖度 ネット上に、 「『山口真帆』のNGT48卒業後を占う 業界人が『それほど甘くない』という理由」 という記事が掲載されていました。 http://news.livedoor.com/article/detail/16481259/ 記事は、 「彼女を応援したい気持ちはわかります。しかし…

約束通りに仕事を発注してくれない

1.特定の取引先に依存しているフリーランスの方は多い 平成30年3月30日に公表された「雇用類似の働き方に関する検討会」報告書に、 JILPIT『独立自営業者の就業実態と意識に関する調査(ウェブ調査)」(速報)概要 という資料が添付されていま…

芸能人・アイドルに対する安全配慮義務

1.日本エンターテイナーライツ協会の声明 「アイドルグループ『NGT48』の山口真帆さん(23)が卒業を発表したことを受け、弁護士らで構成される『芸能人の権利を守る 日本エンターテイナーライツ協会』が2019年4月25日、声明を発表した。」 との…

地方公務員である自動車運転士のコンビニ店員へのセクハラ(フリーランスへのセクハラ問題とも関連)

1.自動車運転士(地方公務員)のコンビニ店員へのセクハラ 労働経済判例速報という雑誌の2019年4月20号に、コンビニエンスストア店員へのセクハラ行為を理由とする停職処分が適法とされた最高裁判例が掲載されていました(最三小判平30.11.6…

コンビニに24時間営業を義務付けることの問題点(フリーランス・個人事業主の適正な働き方を守るための競争法の可能性)

1.コンビニの店主が本部に24時間営業の見直しを求めた件 昨今、コンビニの店主に24時間営業を義務付けるフランチャイズ契約の在り方が話題になっています。 これに関連し、 「コンビニの店主が24時間営業の見直しを求め、本部がこれを一方的に拒んで…

フリーランス・個人事業主として働く人を守ってくれる法制度

1.フリーランス・個人事業主としての働く人は増加している 働き方の多様化に伴い、企業に雇用されず、フリーランス・個人事業主として働いている人が増加しています。 読売新聞の記事によると、厚生労働省が「企業から個人で発注を受けて仕事をする事業主…