弁護士 師子角允彬のブログ

師子角総合法律事務所(東京:水道橋駅徒歩5分・御茶ノ水駅徒歩7分)の所長弁護士のブログです

執筆に参加した書籍のご紹介Ⅱ

 7月2日、「Q&A 賃金トラブル 予防・対策の実務と書式」〔新日本法規、初版、令2〕という書籍が発行されました。

https://www.sn-hoki.co.jp/shop/item/5100133

 本書は、主に企業の人事労務担当者や弁護士・社会保険労務士等の実務家を対象に、

「賃金に関して実務上生じやすいトラブルや最新の論点を取り上げ、予防や対応方法についてQ&A形式でわかりやすく解説することを目指したもの」

で(前掲著「はしがき」より引用)、

第1章 所定内賃金

第2章 割増賃金

第3章 賞与

第4章 退職金

の4章建てになっています。

 私は「第2章 割増賃金」のうち、

概説、

法内残業への残業代の支払、

深夜時間帯にのみ勤務する場合の割増賃金の要否、

歩合制と割増賃金、

兼業をしている労働者に対する割増賃金、

休日振替と代休の違い、

変形労働時間性の下での割増賃金の計算、

フレックスタイム制の下での割増賃金の計算(清算期間を3か月とする場合)、

基本給組込型の固定残業代の導入、

手当型の固定残業代の導入、

年俸制と割増賃金、

といったテーマについて執筆しました。

 編集を担当している2名の弁護士が極めて優秀で、実用性の高い書籍が仕上がったと思っています。

 この2名の弁護士に手を入れてもらいながら原稿を執筆できたのは、大変貴重な経験でした。元々、実務家向けの書籍(第二東京弁護士会労働問題検討委員会『働き方改革関連法 その他重要改正のポイント』〔労働開発研究会、第1版、令2〕)の執筆テーマであったこともあり、残業代請求・固定残業代の問題に関しては、知見のある方だと自負していましたが、本書の執筆を通じ、更に知見を深めることができたと思っています。

 残業代請求は、一見すると定型化できそうにも思えるのですが、実際やってみると定型的な処理は困難で、事案の個性が事件処理に色濃く反映します。個人的な感覚としては、受任する弁護士の技量によって、結論にかなりの差・ぶれが出る事件類型だと思っています。

 専門家向けの書籍を読むことは、法学の専門教育を受けていない人にとって必ずしも容易ではありませんが、残業代請求をお考えの方は、依頼の可否を判断する際の材料の一つとして、依頼を検討している弁護士が、どのような文章を書いているのかも、考慮要素にしてみていいのではないかと思います。