弁護士 師子角允彬のブログ

師子角総合法律事務所(東京:水道橋駅徒歩5分・御茶ノ水駅徒歩7分)の所長弁護士のブログです

2019-05-01から1ヶ月間の記事一覧

超法規的な観点から違法性が阻却される?

1.超法規的な観点から違法性阻却? ネット上に、 「駅で『逃げる痴漢』に足を出して転ばせた男性、『暴行罪になる』は本当?」 という記事が掲載されています。 https://www.bengo4.com/c_23/n_9702/ 記事で回答者になっている弁護士は、 「今回のケースの…

飲酒をめぐるホストクラブでの労働事件(労災・民事訴訟)

1.急性アルコール中毒で死亡したホストの労災不認定処分が取り消されたとの報道 急性アルコール中毒で死亡したホストの労災不認定処分が取り消されたとの報道がありました。 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190529-00000074-mai-soci 報道によると…

無期契約労働者との間での労働条件格差を争いやすい有期契約労働者の類型(5年を超えて働いている人)

1.有期契約労働者と無期契約労働者の労働条件格差が争われた事件 労働契約法20条は、 「有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の…

個人情報の持ち出しと、それに相応しい懲戒処分

1.個人情報の持ち出しと懲戒処分 個人情報の持ち出したことを理由に停職4か月の懲戒処分を受けた鳴門市の職員が、処分が不当・過大であるとして争った事件が公刊物に掲載されていました。 徳島地判平31.1.30労働判例ジャーナル86-30 鳴門市・…

チャットワークで同僚の陰口を言っていた社員達が訴えられた事件

1.チャットワークで同僚の悪口を言っていた社員達が訴えられた事件 機械器具の製造会社で働く社員達(P3、P4)がチャットワークで同僚の陰口を言っていたところ、その同僚から訴えられたという事件が公刊物に掲載されていました(大阪地判平30.12.…

市立病院の院長の職を解かれたこと(配置換処分)は裁判所で争えるのか?

1.公務員の配置転換の特殊性(裁判所で審理してもらうためには不利益性が必要) 民間の労働者の場合、使用者からの配置転換命令の適否を裁判で争うことに特段の問題はありません。 もちろん、配転命令権の濫用がなければ、配転命令の無効を前提とする請求…

従業員が顧客からセクハラ被害を受けた時、職場は何をすれば良いのか

1.農協の職員が組合員からわいせつな行為を受けた事件 従業員が仕事先でセクハラ被害を受けた時、職場には何が求められるのでしょうか。 この問題を考えるにあたり、参考となる裁判例が公刊物に掲載されていました。佐賀地判平30.12.25労働判例ジ…

フリーランス(労働組合法上の労働者に該当しない人たち)による団体交渉の可能性

1.労働組合法上の団体交渉 労働組合には、組合員のため、使用者と交渉する権限(団体交渉権)があります(労働組合法6条)。 団体交渉の対象は「労働協約の締結その他の事項に関して」です(労働組合法6条)。 「労働協約」は「労働組合と使用者又はその…

アルバイト職員でも賞与の支給を要求できる場合

1.アルバイト職員への賞与の不支給が違法とされた例 近時公刊された判例集に、アルバイト職員への賞与の不支給が違法とされた判例が掲載されていました。 大阪高判平31.2.15労働経済判例速報2374-3 学校法人大阪医科薬科大学事件です。 労働…

職場のタバコの臭いに悩まされている人へ

1.職場での喫煙に関する問題 ネット上に、 「“強烈なニオイ”でアルバイトが定着しない。職場のスメハラ被害者の嘆き」 との記事が掲載されていました。 https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190519-00157279-bizspa-bus_all 記事で話を聞かれている…

「個人事業主」としてクリニックに参画した医師の労働者性

1.「個人事業主」としてクリニックに参画した医師の労働者性 「個人事業主」としてクリニックに参画した医師の労働者性が問題になった事案が判例集に掲載されていました(東京地判平30.9.20労働経済判例速報2374-29 メディカルプロジェクト…

働き方改革を理由とする無理な短納期要求への対応(法専門家への相談の重要性)

1.取引先からの短納期要求 ネット上に、 「下請けは『短納期』の要求を毅然と断れるのか」 という記事が掲載されていました。 http://news.livedoor.com/article/detail/16481843/ 記事には、 「4月に働き方改革関連法が施行され、長時間労働是正に向けた…

業界を挙げてアイドルを干すことは法的に許されるのか?

1.業界の忖度 ネット上に、 「『山口真帆』のNGT48卒業後を占う 業界人が『それほど甘くない』という理由」 という記事が掲載されていました。 http://news.livedoor.com/article/detail/16481259/ 記事は、 「彼女を応援したい気持ちはわかります。しかし…

患者から看護職員へのセクハラ

1.患者から看護職員へのセクハラ ネット上に、 「看護職員の2割がセクハラ経験 8割が『辞めたい』」 との記事が掲載されていました。 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190513-00000058-asahi-soci 記事によると、看護職員を対象とする調査で、 「…

勤務成績の不良を理由とする医師への免職処分(公務員にも身分の安定していない職種はある)

1.条件付採用期間中の医師が勤務成績不良を理由に分限免職処分を受けた事案 条件付採用期間中の医師に対し、勤務成績不良等を理由として行った分限免職処分の適法性が争われた事件が判例集に掲載されていました(札幌高判平30.8.9労働判例1197-…

就活面接での不適切な質問・男女差別(記事に法的根拠を示すことの重要性)

1.就活面接での不適切な質問・男女差別 ネット上に、 「就職採用試験の面接で、恋愛観や外見などについて不適切な質問を受けたと答えた人の割合が14・5%にのぼったとする調査結果を15日、労働組合の中央組織・連合がまとめた。」 との記事が掲載され…

私立学校教員の労働時間管理の問題

1.私立学校教員の労働時間管理 ネット上に、 「『勤務時間管理せず』6割 私立校、働き方改革遅れ」 との記事が掲載されていました。 http://news.livedoor.com/article/detail/16454488/ 記事によると、 「私立学校教員の働き方改革を巡り、公益社団法人…

相手方実家の借金を理由に婚約破棄できるか?

1.相手方実家の借金を理由に婚約破棄できるか? ネット上に、 「妊娠中の婚約者が『実家の借金、400万円を肩代わりして』婚約破棄できる?」 という記事が掲載されていました。 http://news.livedoor.com/article/detail/16450366/ 記事は、妊娠中の女性と…

前科はいつまで就職に影響するのか?

1.前科の就職への影響 ネット上に、 「刑務所にいた過去、会社に打ち明けたらクビ『社会の目があるから…』再起できず苦悩」 という記事が掲載されていました。 http://news.livedoor.com/article/detail/16417362/ 記事は、 「『刑務所に入っていた人を会…

就活セクハラをめぐる法的問題Ⅱ

1.就活セクハラをめぐる法的問題Ⅱ 昨日、ネット上に、 「食事に誘う、交際を迫る、体に触る…『就活セクハラ』をめぐる法的問題」 という記事が掲載されていたことをご紹介しました。 http://news.livedoor.com/article/detail/16420339/ 回答者となってい…

就活セクハラをめぐる法的問題

1.就活セクハラをめぐる法的問題 ネット上に、 「食事に誘う、交際を迫る、体に触る…『就活セクハラ』をめぐる法的問題」 という記事が掲載されていました。 http://news.livedoor.com/article/detail/16420339/ 回答者となっている弁護士の方は、 「面接…

職場の同僚間での嫌がらせトラブル 会社は証拠がなければ放置でいいのか?

1.職場の同僚からの嫌がらせ ネット上に、 「『呪い殺す』私の名前の上に無数の釘、ノコギリ跡も…職場の同僚の行為は犯罪?」 という記事が掲載されていました。 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190510-00009615-bengocom-life 記事によると、 「会…

妊活パワハラⅡ

1.妊活パワハラ 昨日、 「許せない『妊活パワハラ』 上司に話すも、忙しい業務を担当させられる」 とのネット記事が掲載されていたというお話をしました。 https://sskdlawyer.hatenablog.com/entry/2019/05/08/122650 http://news.livedoor.com/article/d…

妊活パワハラ

1.妊活パワハラ ネット上に、 「許せない『妊活パワハラ』 上司に話すも、忙しい業務を担当させられる」 との記事が掲載されていました。 http://news.livedoor.com/article/detail/16420863/ 記事は、次の事例をもとに、上司の措置がパワハラではないかが…

裁判官の懲戒と国家公務員一般職の懲戒

1.ツイッターでのツイートを理由とする裁判官への懲戒処分 報道等で既に有名になっている事件ではありますが、裁判官がツイッターでのツイートを理由に懲戒処分を受けた事案があります。 https://www.asahi.com/articles/ASLBK5WTVLBKUTIL04W.html 当該裁…

残業規制はここまでなら働かせても問題ないという基準ではない(医師の残業時間規制)

1.医師の残業時間規制 ネット上に 「医師の働き方 識者に聞く 岡留健一郎さん 中原のり子さん」 という記事が掲載されていました。 厚生労働省の検討会で、一部勤務医等の残業時間の上限が1860時間とされたことについて、医師や夫を過労自殺で亡くした…

紀要論文にウィキペディアを流用するリスク

1.論文不正に対する研究・教育制限措置 論文不正に対して教授会がとった研究・教育制限措置等の適法性が問題になった事案の高裁判決が公刊物に掲載されました。東京高判平30.4.25労働判例1196-56 学校法人明治大学(准教授・制限措置等)事…

経営者(取締役)が長時間労働を放置することの危険性

1.長時間労働を放置して会社と一緒に経営者(代表取締役)が訴えられた 長時間労働が原因で脳梗塞を発症し、後遺障害(高次脳機能障害、右上肢及び右下肢の麻痺)が残ったとして、従業員が会社を訴えた事案が公刊物に掲載されていました(福岡地判平30.…

「ギリギリセーフ」ではない送り付け商法

1.Amazonを利用した送り付け商法 ネット上に、 「Amazonからいきなり商品が来た...送りつけ商法の新型手口」 との記事が掲載されていました。 記事は、 「ギリギリセーフを狙い撃つ新型・送りつけ商法の手口」 との表題のもと、下記のとお…

非正規(有期契約社員)でも退職金を請求できる場合

1.有期契約社員と正社員との労働条件(退職金)格差 今年の2月20日に、 「『長年勤務の契約社員の退職金格差は違法』 東京メトロ子会社に賠償命令 東京高裁」 との報道がなされました。 https://mainichi.jp/articles/20190220/k00/00m/040/211000c こ…